第四十四章【英雄】side:You ページ1
「……A?」
「おい、どこ行くんだお前」
ゲームカウントが3-5にひっくり返されたと同時に
宍戸達の制止になんの返事もせず、
動きをとめた彼の元へ歩みを進めた。
目を瞑ったまま言葉も発せず少しも動かない彼に
忍足よろしく、パン! と手を打ってみるも
やはりなんの反応もない。
……おいおい、チェンジコートすら出来ないんかい。
幸村さんの策なんかに引っかかんないって言ってたのは
どこの誰よ本当に。
漏らした嘲笑と共に視界の端で負けた仁王さんと柳生さんが
真田さんの愛の平手打ちをくらっているのが見えた。
――――これだ。
彼の顔を見据えて、思いっきり手を振りかざした。
パチン! と高く響いた音に、
驚く立海サイドのレギュラーメンバーが見えた。
後ろの氷帝ベンチもザワつかせた私の行為。
あの俺様王様跡部様に平手打ちをかましてやったのだ。
彼の目を覚まさせようと思っただけでは無い。
正直なところ、
これまでの積み重なった腹いせみたいなところはある。
なんの抵抗も出来ない今しか出来ない事。
けけけ、ざまぁみろ跡部。
こればかりは幸村さんに感謝だわ本当に。
と、少しばかり気が晴れたところで本題に入るべく
怒らないどころか相も変わらず
指の1本も動かさない彼の頭を掴んで
その額に、自分の額に押し当てた。
『……いつまで寝てんのアンタは。いい加減起きろっての。
こんな一方的なくそつまらん試合見せられたところで
なんも楽しくないんだよこっちは。
さっさと、怯まず、攻めて、前だけ見て挑みなさいよ。
最後に笑うのは……俺達、なんでしょう』
私の突然の挙動にザワつく会場に対して
ひとつも反応を見せない彼にあまりにもイラッときて、
1回離れてオマケの頭突きをかましてやろうと
頭を引いたその時、彼が目を開いて。
それでも止まる事無く頭突きをしてやれば、
「いっっってぇ!」と頭を抑えてしゃがみ込んだ彼を見て
目を見開いた。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年1月28日 13時