乗っ取り20 ページ21
『・・・・・え?』
一期の冷たい視線が刺さる。
傍にいる見習いも嬉しそうにニヤニヤと笑っていた。
・・・・今、一期はなんと言った?
“失望した”と言ったか?
「・・・・いち兄、今、なんて・・・」
「薬研、乱、痛かったろう。すまない・・・・今まで気付けなくて」
「ちげぇ!大将は何もしてない!!これは見習いが、」
「もうそこの人間におびえることはない。これからは何があっても私がお前たちを守るから」
「いち兄!!!」
一期は二振りに優しく笑いかけた後、再び冷たい視線を私に向ける。
「これからは弟達に近付かんでくれますか。・・・普段から貴方は冷めた態度を取っていましたが、それでも刀のことを大事に思っているのだと私は信じておりました。・・・・しかし、貴方はその信頼を裏切った」
『違う!一期、話を聞いてくれ・・・!』
「貴方の声などもう聴きたくありません。今すぐに失せてくだされ」
「そうですよ!私だけなら未だしも、自分を慕ってくれていた刀にまで暴力を振るうなんて!最低ですねぇ?ここに居ていいわけがありませんよねぇ?・・・・私が言いたいこと、分かりますよね?」
「見習い殿、貴方は黙っていてください」
一期は、思わずビビって後退りしてしまうような低い声でそう言い放った。
さすがの見習いも、驚いて声も出ずに固まっていた。
「・・・あの人間の言葉で貴方が傷付く姿を見るなど耐えられんのです。貴方は私が絶対にお守り致しますから、・・・・ね?」
「い、一期さん・・・!はいっ、分かりましたぁ♡」
いやチョロ。
「とにかく、これ以上自分勝手なことはしないで頂きたい。本丸から出ていけ、とまでは言いませんが、忠告を聞かず同じことを繰り返した場合は・・・・分かっていますね?」
・・・・・何も言えなかった。
一期は話を聞く気は全くないようだし、見習いの嘘を信じ切っている。
きっと弟達が否定したとしても私に脅されているとしか思われない。
薬研達の話を聞かないのがその証拠だ。
「いち兄、どうしちまったんだ・・・そんな人間の味方に付くなんて・・・!」
「主君は何も悪くないんですっ!」
「い、いち兄らしくないです・・・!」
「・・・・・どうしてもそっちに付くって言うなら・・・・そうだね・・・」
鳴狐は金色の瞳を細めて刀に手をかける。
「鳴狐達と斬り合うことになるけど・・・・それでもいい?」
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いぶき(プロフ) - 続きが気になります! (2022年9月11日 15時) (レス) id: d775cce176 (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新は、もうされないのでしょうか? (2020年7月9日 2時) (レス) id: e324714dd9 (このIDを非表示/違反報告)
アニオタちゃん - 更新、頑張ってください! (2019年12月8日 21時) (レス) id: 8da926b67e (このIDを非表示/違反報告)
アニオタちゃん - なんかこの作品好きだわ....w (2019年12月8日 21時) (レス) id: 8da926b67e (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 面白かったです!がんばってください、応援してます! (2019年9月24日 19時) (レス) id: 84c6b64b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2019年8月28日 17時