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※You side.
ピピピピピ…
目覚まし時計が部屋に響き渡る。
のそのそと起き上がって止めるとそのまま腰掛けた。
「…え？」
自分の手を見る。
何の変哲もない自分の掌。
ついさっきまで大きな手がそこにあった。
海の時とは違って、自然にするりと指の間に滑り込んできた長い指。
会話が弾む度に甘えたように私の肩に掛かる柔らかな髪や良い匂いすらまだ感触が残っているようだった。
「夢の中で…触れられたよね？」
いまだに信じられない。
だって、これまで服にすら触れる事は出来なかったのに。
私の頬に触れて、
蕩けるような甘い笑顔になるミンギュくん。
「…いやいやいや！妄想もここまで来るとヤバいよね！？」
顔が焼けるように熱い。
顔を洗おうと洗面所に向かうとそこには真っ赤に茹で上がった顔があった。
「ミンギュくんに次、会えた時はどんな顔すれば良いの？」
自分の欲深さがここまで深刻だと思った事はない。
夢の中で夢でも見たのかな？
だって真剣な表情で見つめてきた彼が、
私の髪に触れてポッポしたんだもの…
その直後に目覚めたから、
それが原因なのか、目覚ましが原因なのかはわからない。
ポッポって、何とも思ってない人にも出来るの…？
ミンギュくんはそんなに軽い人じゃないと信じたい。
…いや、ポッポする基準がわからないんだけどね？
取り敢えず、夢の事は覚えていないであろうミンギュくんに夢の中の彼の行動を当てはめるのはやめようと決めたばかりだ。
明らかに最近の夢のミンギュくんは私の妄想なんだから。
絶対に現実の彼はしない事をやってのけるなんて、イケナイミンギュくんだ！
「よし、今日から夢の中のミンギュくんは心の中で“眠ギュ”と呼ぶ事にしよう！ 私の心を掻き乱す悪い子は呼び捨てにしちゃうんだから！」
決して、眠ギュのせいではないのにそうする事に決めた。
ごめんと思いながらも、そう思わないとミンギュくんに顔を合わせられない。
鏡に映った自分は彼が触れた髪の辺りを愛しそうに眺めて触れていた。
これは私が相当、ヤバい奴なんだと確信するには十分ではないでしょうか？
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作者名：chuka | 作成日時：2022年6月14日 17時
