真夏の月 (ページ7)

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8月◯日

月末評価の課題曲が決まった。ラップパートは行けそうだけど、ダンスがフツーにむずい。先月の評価で奮わなかった分今月は挽回しないといけないのに。今月もだめだったら、……ネガティブ思考はやめよう。俺らしくない。

彼女は今日は居なかった。

8月◯日

朝練習室に行ったらもうヒョン達がいた。最近の宿舎での様子を聞かせてくれて、一番仲のいいチャンミニヒョンが俺がいなくて寂しがってるって言ってた。そうだろうな。俺も少し寂しかったけど、初めての一人暮らしを楽しんでるということにしておいた。

彼女は多分昨日から帰ってない。また料理作ってくれるって言ってた(粘って言わせた)けどしばらく忙しいのかも。

8月◯日

末っ子のエリギが、学校から出てる夏の課題が昨日終わったと話していた。普通科じゃないからガッツリした量が出るわけじゃないけど、真面目にやるあいつは偉いと思う。俺は半分手をつけて放置してる。ヒョン達は「勉強はできる限りちゃんとやっとけ」って。今は放置してるだけで俺だってちゃんとやるつもりだ。

母親が来てしばらく分の総菜やらを作ってくれた。隣人のことは特に話すつもりはなかったけど、冷蔵庫に入ってた料理の残り物でバレた。俺全然料理とかしないし。彼女のことを素直に説明すると不安がるだろうから(彼女は不明なことが多いので)、倒れていたところを助けたとだけ言っておいた。

8月○日

昼飯のデリバリーで意見が割れすぎて大変だった。平和か。練習はぼちぼち。一緒にいる分、他の人と比べて自分の足りない部分が見えてきて焦るときもあるけど、案外みんなそう思ってたりするらしい。切磋琢磨する仲間っていいな、なんて思ったりして。

帰り道、ゲリラ豪雨に遭遇。傘なんて持ってなかったからそのまま歩いてると近くでタクシーが止まって、降りてきた人に傘を差し出された。彼女だった。別に素通りしたって不思議じゃないのにわざわざ降りて来てくれるとか、普通にグッとくる。禍を転じてなんとかってやつ。まあ、俺は柄にもなく緊張して全然話せなかったけど。あー、情けなさすぎる。