東リベ彼氏 2 【 中編集 】

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なかなか絞れずに、結局蘭と二人で選んだ。
なのに5つまでにしか絞れなかった。だって全部似合うと思うんだもん。

結果、手元に残った5つの布地で5着作ってもらうことになった。
私も高校卒業したらこうやってスーツ買いに来るのかな。


『私もスーツ着る時が来るのかな』

「Aも外出るようになるんだったら必要かもな〜」


ココや万次郎みたいに、外に出ることが少ないなら要らないってことか。
仕立て屋でネクタイを選びながらそんなことを考える。

スーツは今日オーダーして、ネクタイは今日新調するらしい。
蘭に似合うネクタイか、うーん。
似合わないネクタイを探した方が早いのでは？


『ねぇ蘭？』

「ん〜？いいのあった？」

『ううん、そうじゃなくてさ』


不思議に思ったのか、私の方に身を寄せてくる
蘭の匂いも落ち着くな、竜胆の匂いも好きだけど。

広い店内を貸し切りにするほど、ここの売り上げに貢献してるのかな、すご…
お店の人も気を利かせて、裏で待機してくれている


『私がスーツ買う時が来たら、蘭が私の選んでよ』


蘭が目を丸くして驚く。私なんか変なこと言ったかな、嫌だったかな


「プレゼントしろってこと？」
『いや、自分で買うけど』


ただデザインを選んでほしいだけで、お金を出してほしいとは思ってないです
「ハ〜、」と一息ついて、いつもの顔に戻り私の頭を撫でる


「だよな…、ビビった」


何にビビってるか意味わからない。そんなに高いのかなスーツって


『ダメ？』

「ダメなわけねえじゃん。毎回オレが選んであげる♡」

『やった！楽しみ！

あ、このネクタイ蘭に絶対似合うよ』


見つけたのは蘭に似合いそうな色合いをしたシックなネクタイ。
どの場面でも使えそう。

蘭の首元に持って行って、顔とのバランスを確認しても文句ナシで似合っている。


『うん、完璧』
「ふはッ、ありがと♡」


お会計を済ませて、車に乗り込む。
ついでに竜胆の完成したスーツを受け取ってきた。

すぐ血だらけにするからスーツの回転率やばそう。


「もうオレの用済んだから、あとはお嬢の行きたいところ行こ。行きたいところある？」

『ん〜、』


実は特に行きたいところなんてなかった。
ただ蘭と出掛けられるなら！と思って付いてきただけだから全くのノープラン


『…あ、ピアス欲しい！』


先日、いつも付けていたピアスを失くしてしまったのを思い出す。

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