小説書きの例 ページ15
「ここどこ…？」
目が覚めて辺りを見回せば、氷でできた壁、床、家具…
目に入るものは全部氷。人もいない。私一人。
「さむっ…」
その言葉と一緒に吐き出された息も白い。
暖房やストーブはおろか毛布やカーディガンもない。半袖のせいで剥き出しの腕を摩り、なんとか寒さを耐えようとする。
そんな私に慈悲はないのか、氷の所為で十二分なほどに冷やされた風が吹き抜け、私の体を一層冷やした。
直感的に感じる。
ここにいてはダメだ。
逃げなければ、と。
すごく嫌な予感がすると私の直感が警報を鳴らしていた。
「逃げなきゃ！」
早く、早く外へ！
ドアノブへ手を伸ばすが、見事に凍りついてしまい回すことすらままならない。
このままではダメだ。
凍りついたドアを素手で乱暴にドンドン叩く。
肌がひっつくし、霜焼けで痛いけど構っている暇はない。
「開けて！お願い、ドアを開けて！」
ドンドンとドアを叩く音だけが、氷の部屋に虚しく反響する。
寒い、もう嫌だ。
でも私は絶えずドアを叩き続ける。
「開けてッ！」
…何度叩いただろうか、
どれくらい経っただろうか。
疲れ切った私はドアの前に座り込んだ。
気付いてもらえなければ意味がない、と白い息を吐きながら赤く霜焼けた両手を見つめる。
「どうしよう…」
どうしようもなくなって、独りそう呟いた時だった。
「───どこに行くの？A…」
突如背後から首筋に冷たい刃物を押し付けられ、みっともないほど悲鳴をあげながら後ずさる。
ゾクリと背筋が凍った。
刃物を突きつけた子は、完全に私の首を掻き切るつもりだったのだろう。
離れていった私を見て「あららー、ざーんねん」と笑いを零した。
「誰！？それにどうやってここに…」
「愚問だね。最初から居たさ」
少女は手にしたナイフを器用に上に投げては柄をキャッチし、を繰り返し私を見下ろしてくる。
最初から居た…？
おかしい、誰もいなかった筈なのに。
「それにさぁ、誰って？薄情だなぁ…忘れたの？」
少女はおもむろに私に向かってナイフを投げた。
ナイフは私の横をギリギリ掠めて、氷の床に突き刺さる。
頬の薄皮が切れて、つうっと血が一滴流れた。
「アンタのよーく知ってる人物だよ」
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こぎつね(プロフ) - すごく分かりやすい解説でした！小説を書くときに参考にしようと思います(*´∇｀*) (2021年8月25日 18時) (
レス) id: b879b0bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
… - 土間うまるは化け物なのか… (2019年5月1日 22時) (レス) id: 53ec79fa9c (このIDを非表示/違反報告)
神輪(え？何それ美味しいノ？) - ごめんに二創作なんだけど化け物なんだ(銀魂の夜兎族) (2019年5月1日 22時) (レス) id: 53ec79fa9c (このIDを非表示/違反報告)
ネギボウズ(プロフ) - こんにちは。初めて拝見しましたが、読むうちになるほどと思いました。ぜひ参考にさせていただきます！ (2018年8月27日 19時) (レス) id: 3d68d1b04f (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨＠ペア画中(プロフ) - 氷空さん» あの、意味を説明すると長くなるのでボードにお邪魔させていただきますね！ あなたの端末の問題ではなく、これは自分で気を付ければ何とかなる問題なので…… (2017年5月14日 13時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天宮/ノア | 作成日時：2016年3月30日 14時
