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「今日も行こうぜ〜」
曇り空の夜だって、
海斗は変わらず私の家を訪れて
“星見に行こう”と誘い出す。
ほんと、いつまでも飽きないみたい。
『今日天気悪いし、多分星見えないと思うけど？』
「まぁそうだとしても、
日曜日はお前と過ごすってのが決まりだから、」
『だったら星見る以外のことでもよくない？』
「あー、まぁ、それは(笑)」
雑すぎる返答。
海斗はいつもこうやって言葉を濁した後
“まぁまぁ、どんな夜空も綺麗ですから”とか
洒落たようなこと言って私の手を取り連れ出すの。
何度も、天気が悪い時は他の事しようよって
私も提案するんだけど、
結局なんだかんだ海斗に連れられるまま、
星の見えない夜空を眺めることになる。
まぁ、嫌いではない。
これが私達の過ごし方で、付き合い方だから。
ー
「なんか、まじで人いねえな」
静まり返った空間。
星から目を逸らして周りを見渡したかと思うと、
海斗はそう呟いた。
『当たり前でしょ、普通は見に来ないよ』
「え〜？でもそれにしたって、
俺ら2人しかいねえなんてなかなかなくね？
超レアじゃない？」
そう言われて私も周りを見渡してみると、
確かに視界に入る限りでは、
私達2人しかこの場所にいなかった。
そこまで遅い時間帯でもないのに
ここまで人がいないというのは、
海斗の言う通り珍しい事だ。
『確かに、言われてみればそうだね』
って同調したら、
海斗は“だろ？？”って得意げにしてくるけれど、
別にそれに気付いた事自体は
すごいことでもないんだけどな。
まぁこういう単純なところも海斗らしい。
「なんか、そう思うとドキドキしてきたわ」
『…はぁ？絶対変なこと考えてるでしょ海斗』
“ちげーってちげーって！”そうやって焦られると、
それは“はい”って認めてるようなものだよね。
でも今回は違ったらしい。
「今、この世に俺ら2人しかいないみたいだな〜。
とか思っただけ」
ね、海斗ってロマンチストでしょう。
星見ながらこんなこと言うんだから。
『わ、でた。海斗のロマンチストなところ』
「いーじゃん別に、
それで誰か困るわけでもないんだしさ」
『まぁね』
この世に私達、2人だけ。
今日は私もつられて、
そんな夢みたいなことを想像してみたりする。
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作者名：推しとリアコは別JAPAN | 作成日時：2021年9月5日 0時
