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42段目 ページ17
どうやって辿り着いたのかわからないが、気づくと目の前に、白い布を被せられたモノがあった。
…あの日が、フラッシュバックした。同じだった。
犯人はまだ捕まっていないし、犠牲者は彼一人。
違うのは、あの日隣にいてくれた人がいないこと。
あの日よりも、損傷が激しいこと。
警察官としては正しく、世間から讃えられるような二人の男の最期は、しかし彼女にとっては両の手足をもがれたかのような痛みと苦しみしか与えなかった。
病院からの帰り道もほとんど無意識で足を進め、自宅の布団に力なく倒れ込んだ。
もうこの家に、私以外の声が響くことはないだろう。
そう思うと、何もやる気が起きなかった。
松田くんがいないことが信じられなくて、お葬式でも涙は出なかった。
それ以降の数日は、人間としての機能を失くしたかのように食事もせず、倒れるように眠る生活を繰り返した。
無理を言って休みをもらっていたパートを再開したものの、Aの働きは淡々としている。
決められた作業をこなし、挨拶だけをする、まるでロボットのようだった。
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作者名:藍原春陽 | 作成日時:2019年10月31日 15時