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41段目 ページ16
ブー、と着信のバイブ音が鳴った。
パートの休憩時間。こんな時間に誰から?と疑問に思いながら画面に目を落とす。
「松田くん?」
珍しい。最近は無言で一緒に晩ご飯食べるくらいで、特別連絡なんて取っていないのに。
「何これ。」
それは普段の彼からは出てきそうにない言葉ばかりで、私はそれをイタズラかな、と軽く流す。
『何言ってるの。いつもそんなの気にしないくせに』
そう返信して、仕事を再開した。
『すまねえ
今日帰れねえわ
だって萩原の命日だろ。二人の時間と自分を
大切にしろよ』
それは、空へと登っていく彼の、隠れた最期の想い。
あの苦しくて忌々しい日が繰り返されたことをAが知ったのは、またしても一本の留守番電話だった。
『松田刑事が爆破テロに巻き込まれて死亡しました。』
ツーツー
残ったのは何も言わない電話と放心状態のAだけ。
ふらふらと病院に足を向ける彼女には、雲間から淡い光が降り注いでいた。
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作者名:藍原春陽 | 作成日時:2019年10月31日 15時