38段目 ページ13
いつものようにドンドンと隣の萩原家のドアを叩くと、ドアを開けて迎え入れてくれた柏崎が無言で部屋の奥を指差す。
そこにはこの家にあるはずのない、ガタイのいい男の姿。
「…伊達?」
近寄ると、どうやら彼は仏壇に向かって何か話しているようで。
「彼女を悲しませるかもしれない。」なんて言葉を聞くと、大体の内容が想像できた。
伊達の話が途切れた時に、昔から萩原が言っていた理由を教えてやる。ついでに、何故居るのかと疑問もぶつけた。
「なんで居るんだ」「お前こそ」と決着の付かない言葉の応酬をしていると、この家の家主が口を挟んで男2人の事情を説明してくれた。
なんだかんだ久し振りに会った級友とは話題も多く、話しているうちに夕飯が出来上がり、帰るタイミングを失った伊達も共に食卓を囲むことに。
「で、伊達さんの彼女ってどんな人なんですか?」
「…とても、優しくて温かい雰囲気の人だな。でも俺が沈んでいると背を叩いてくれるような人だ。」
「…いいですね。今の伊達さんの答えだけで仲がいいんだってわかります。」
「…伊達の顔じゃ、怖がられそうだけどな」
「こら、松田くん!」
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍原春陽 | 作成日時:2019年10月31日 15時