ウワサの佐野くん【東京リベンジャーズ】

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あの変なバレンタインデーから何ヶ月か経った。



あ、そうそう。ホワイトデーにはお返しが来た。


誰からって？佐野くんから。


………私アレをあげたつもりないんだけど？？？

奪ったよね。佐野くんが取ったよね。私あげてない。

つまりお返しにならないよね。

何故ならあげてないんだからね。




なんてことがあり。お返しは甘いお菓子だったからありがたく頂戴したけど。


いつの間にか佐野くんはクラスで1番喋る男子になってしまっていた。

なんか、色々と絡まれてる。
楽しいときもあるっちゃあるけど、ウザいときもある




そして、小4にあがって間もなく。梅雨入り前。


母の仕事が一段落着いて、落ち着いてきた頃。
私は母に習い事をしてみたら？と提案されたので、空手を習いたいと呟いたことがあった。

道場があってね、そこに通えるようになったから。と言われ母と一緒に行ってみるとビッくらポン。

佐野くんがいたんです。


なんで？最近よく会うね。なんで？？
ああ、佐野道場っていうんだここ。
へえ〜、お祖父さんが師範をやってるんだ。
ていうか、佐野くんに弟いたんだね。生まれたんだ。
私？私は一人っ子。いいなー、私も下の子ほしい。


それから道場に通い始めた。放課後一緒に。

確か、中学に上がる前には佐野くんを越してたっけなぁ………組み手やって毎回勝つまでにはなってた。
弱いんだよなあ…佐野くん……





まあ、話戻すと
適当に駄弁ったりして小4の夏を過ごしてた、ある日




佐野くんがへんてこりんな顔をして口数が少なくなった日があった。なんか、いっつも馬鹿やって笑ってる顔が、ちょっとだけぎこちなかった。


その日の放課後はどこにも寄り道せずに、まっすぐ道場へ向かった。

当時不審に思った記憶があるけど、何かあったんだなって話してくれるならそれまで待ってようって、黙って本読んで歩いてた。




『！？』


そしたら、隣からグスグスと泣き声がしたもんだから


びっくりしちゃって。


声が聞こえる直前に、待ってようって決めたばっかりだったのもあって。隣で泣き続ける佐野くんに、私は何をしたらいいのか分かんなくなって。
気づいたら頭を撫でてた。

従妹にする様に。同級生を。男子を。私の手は撫でた


あって思った。
同級生なでちゃった、しまったとか思った。


けど。佐野くんは静かに号泣し始めた。止めどなくポロポロと彼の頬を伝っていく涙を、拭こうとする素振りもなく。

ただ静かに泣いてた。

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