ウワサの佐野くん【東京リベンジャーズ】

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「あ、椿井(つばい)じゃん」



……変人に話しかけられてしまった



「………佐野クン。血垂れてるけど、頭大丈夫？まずなんで頭打ってんの。下駄箱に。馬鹿なの。」


ハンカチは？
持ってない
私のティッシュいる？と聞くと
貰う。ありがとうと返ってきた



……や、ね。流石にハンカチが血塗れになるのはイヤ




「うわほんとに血出てる」



うわ〜と驚くこの男子は、変人こと佐野真一郎。
クラスメートで、何気に3年間ずっとクラス一緒。
なんか、最近は不良に憧れてるらしい。
理由はバイクを無免許で乗ってるから。馬鹿ですかね


「いやさ、今年もチョコ誰からも貰わなかったんだ」










え？



「……だから、頭打ってたって？」


「おう」

「馬鹿なの？」


「バカじゃねーし！お前知らないのか？バカって言ったほうがバカなんだよ！」

「そういうとこが馬鹿」

「あっ！！ていうか椿井！めっちゃチョコ持ってんじゃん！なんで！？」

チョコでこんもりとしている手さげ袋を指さして言った


「なんでって、友達に貰った。これはあみから。これはさりなから。これはももえちゃんから。これはまなから。これはりえちゃんから。…これは、……」

「多っ。……？これは？」


言葉が詰まったのは、渡せてない本命チョコのせいだ


「別になんでもいいでしょ！こんなのいらないの！」

「えっなら俺にくれよそれ」

「はあ？やだよ」

「ええ！？なんでだよ！」

「なんでも！」

このチョコなんてもう視界にすら入れたくないけど、佐野くんにあげるのはなんか違う。なんか、負けたみたいでイヤ


悶々と考えながら靴を履き替えていたら佐野くんに取られた



「もーらいっ！」

「ちょっと！！返して！」


「ん？“玲子より”…って、これ」

「返してってば！！！」


ラッピングも袋も他の友チョコとは違う本命チョコ。
差出人の名前が書いてあって、放課後にもなってそれをまだ本人が持ってるってことは、そういうこと。

こんなこと、同級生に知られたくない。



あと少しで手がカスるってところで、佐野くんは急にチョコを高く持ち上げた


「は？」

「ここまで届いたら返してやるよ！じゃっ！！」

「え？、…え、は！？」

効果音をつけるならビューーン！って感じで
下駄箱から走り去った佐野くん


「ハッ…なっちょっと！？置いていけーーー！！！」




小3のバレンタインデー。初対面じゃないけれど、佐野くんと初めてこんなに話した日だった

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