20 ページ20
.
「はぁ〜おいしい〜」
「そういえば、優太さんは食べないんですか？アイス」
チョコ味のアイスの甘さに幸せを感じていると優太さんは何も食べていないことに気づく。
「ばーか。今冬だぞ？そんな好き好んでアイス食べねぇよ」
つーか今日結構寒くね？
なんて言いながら私が食べているところを見ている。
まぁたしかにそうだ。私の2つ隣に座っている女の子はホットドリンクを飲んでいるわけだし。
「でも、それなのにわざわざ買ってきてくれたんですね」
「…まあな。お前アイス好きだからな」
「おお、よくご存知で」
「何回奢ったと思ってんだよ」
「へへ、ですね」
優太さんとお喋りをするときの雰囲気が好き。
年上なのに変に気を張らずに自然体でいられるから。
「で、今日も元気ないけど？なんかあった？」
なんとなく、こう聞かれる気がしていた。
だって、優太さんがアイスをくれるとき、私は決まって元気がなかったり落ち込んでいたりするからだ。
「分かっちゃいます？」
「うん。なんか負のオーラっての？すげー出てたからさ」
また手を使ってオーバーな表現を…。
「絶対そんなに出てませんよ。その負のオーラ？ってやつ」
「いやいや。俺には分かるんだって」
負のオーラがどうのこうのっていうのはよく分からない。
けど、本当に私が元気がないときに今日みたいに元気づけようとしてくれるから、優太さんはなんだかんだで人のちょっとした変化に気づきやすいのだと思う。
「どうせ今日も恋の悩みだろ？」
図星。そうです。その通りです。
「どうせって言い方やめてくださいよ」
「ごめんごめん。でも当たってるだろ？」
私はその問いかけにコクコクと頷くしかなかった。
紫耀とおかしな関係になってしまって間もない頃から優太さんはこうやって私が悩んでいることに気づいてくれていた。
優太さんには、“片想いをしている”とだけ伝えている。
もちろん、その相手が紫耀だということは明かしていない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1486人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
來(プロフ) - やんやんさん» とっても好きな作品と言ってもらえてとても嬉しいです(^^)切ないですよね…。これからも切ないシーンが出てくると思いますがお付き合いお願いします(>_<) (2020年10月6日 23時) (
レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - munさん» 二人とも好きな人が原因で辛くなってるんですよね…。自分でも書きながら切な！！って思ってました… (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - 初子さん» はじめまして。ドキドキをお届けできているようでよかったです！ありがとうございます(TT) (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
やんやん(プロフ) - いつも涙ポロポロ出しながらぎゅーんと切なくなりながら見ています（ ; ; ）とっても好きな作品です。 (2020年10月6日 21時) (レス) id: 97979cb1f9 (このIDを非表示/違反報告)
mun(プロフ) - 44ページの最後、お互い苦しいでしょうね・・・平野君にとっても嫌だし、それを聞いてしまった夢主も嫌だろうし・・・なんだかとても切ないです。 (2020年10月5日 17時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來
| 作成日時：2020年9月16日 22時
