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紫耀に抱かれるのはあの日が最初で最後だと思った。
本当にそう思っていたのに…
あの夜から1週間ほど経った日のことだった。
あれから彼を避けるためにサークルに顔を出すことをやめていたけど、先輩たちの押しに負けて飲み会に参加することになった。
彼もその場にいたからなるべく離れた席に私はひっそりと座っていた。
けれどやっぱり彼が同じ空間にいるというだけで胸がざわついてしまって落ち着かなかった。だから私は適当に理由をつけて一人だけ先に帰ろうと思った。
お金を渡して私は周りに迷惑をかけないようにお店から抜け出した。
駅に向かおうとしたとき、
「っ！？」
後ろから誰かに手首を掴まれた。
「A」
すぐに誰だか分かった。
振り返ってはダメ。そう頭では分かっているのに体は言うことを聞いてくれなかった。
「平野くん…」
「なんか最近俺のこと避けてるよね」
バレてた？そんなに分かりやすかった？
「…」
なんて答えるかを迷っていると、
「もう俺のこと嫌いになった…？」
彼は弱ったような表情でそんなことを言ったのだ。
「え…なに…？」
「答えてよ、A」
一体どういうつもりで聞いてきたのか。
どんな返事をしてほしいのか。どんな返事をするのが正解なのか。
少し考えてみたけれど正解なんて分からなかった。
「嫌いになんかなってないよ…
好きに決まってるでしょ」
正解が分からなかった私は頭の中に一番最初に思い浮かんでいたことを伝えた。
その言葉を確認した彼は優しく微笑んだあと、私の手首を離した。そしてすぐに指を絡めとる。
彼の大きな手に包まれながら私はただ黙って、この先に何があるかなんて考えることもできずに彼に着いていった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「どうしてここ…」
到着したのは少し前に一度だけ来たことのある、彼のアパートだった。
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來(プロフ) - やんやんさん» とっても好きな作品と言ってもらえてとても嬉しいです(^^)切ないですよね…。これからも切ないシーンが出てくると思いますがお付き合いお願いします(>_<) (2020年10月6日 23時) (
レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - munさん» 二人とも好きな人が原因で辛くなってるんですよね…。自分でも書きながら切な！！って思ってました… (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - 初子さん» はじめまして。ドキドキをお届けできているようでよかったです！ありがとうございます(TT) (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
やんやん(プロフ) - いつも涙ポロポロ出しながらぎゅーんと切なくなりながら見ています（ ; ; ）とっても好きな作品です。 (2020年10月6日 21時) (レス) id: 97979cb1f9 (このIDを非表示/違反報告)
mun(プロフ) - 44ページの最後、お互い苦しいでしょうね・・・平野君にとっても嫌だし、それを聞いてしまった夢主も嫌だろうし・・・なんだかとても切ないです。 (2020年10月5日 17時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來
| 作成日時：2020年9月16日 22時
