√sgi ページ10
「須貝さん！」
見晴らしのいい広場にある、モニュメントの前。
特徴のある物に集合するのは、みんな考える事。
その中で、長身の彼はとてもよく目立っていた。
私の個人的なフィルターが掛かっているだけかもしれないけれど。
振り返った須貝さんの目が私を映して、大袈裟な程に丸められる。
「…おす」
「こんばんはっ。お待たせしました…」
「…浴衣…」
「は、はい」
「…すげぇ可愛い…」
「えっ！？」
「へ！？あ！い、いや今のは、つい、口からポロッと…！！」
今、可愛いって、聞こえた。
可愛いって、言ってくれた。
多分、今の私は浴衣よりも、真っ赤で。
でも、それは彼も、似たようなもので。
端から見たらなんてシュールな光景だろう。
恥ずかしさに続く沈黙。ふと、その長い指が気まずげに頬を掻き。
「いや、でもその、マジで似合ってる」
「…っ。あ、ありがとう、ございます…」
「じゃ、じゃあ行くか！」
「そ、そうですね！」
そのまま、会話も少なく移動した土手。
恋人達や家族で賑わう中。丁度二人分、ぽっかり空いていた草の上に腰を降ろす。
せっかくの浴衣が汚れるから、と遠慮する私の下に敷いてくれたスポーツタオル。
優しい。
嬉しい。
素直になると決めた想いが、溢れ続ける。
「…なあ」
花火を待つ中。
不意に須貝さんの声が、真剣みを帯びた。
「なんで今日、俺だった？」
「え？」
「他のヤツにも、誘われてたでしょ」
「……」
「あー、ちょい待ち。こういう言い方は卑怯だよな。その、要はさ」
「俺は、そういうつもりで誘ったんだけど」
「お前は、どんな気持ちで来たのかなって」
周囲の賑わいが、遠退く。
握り締めた拳が、汗ばむ。
この日までに、決めていた。
伝える前に言わなければ、と。
真っ直ぐ想ってくれる、この人に。
「……私、は…」
「……」
「私は、凄く、狡かったんです」
「…A…？」
「壊れるのが嫌で、自分の気持ちも、自分以外の人の気持ちもずっと、蔑ろにしてきて…っ」
今ここで、泣きたくはないから。
必死に堪えているせいか、目の奥を苛む痛み。
「本当はずっと、気付いていたのに」
「気付かないフリを、していたんです」
軽蔑されても、それは受けるべき罰だ。
何度言い聞かせても、怖くて、恐くて。
「知ってたよ」
そのとき、闇を裂くように、空に花火が上がった。
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海夏(プロフ) - すみません、以前からハレさんの作品をはいけんさせていただいていた者です。パスワード保護のパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2020年4月27日 13時) (
レス) id: 586ce6f94a (このIDを非表示/違反報告)
QDC - 月華さん» 月華さま:コメントありがとうございます！月華さまの作品拝読しているので、こちらに来ていただけて光栄です。そうですね、また何か出来たらいいなあと思っております。そのときはまたぜひよろしくお願いします。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: 4c47738fc0 (このIDを非表示/違反報告)
QDC - アオイさん» アオイさま:コメントありがとうございます！いただいたコメント、作者一同とっても嬉しく思っています。企画をやった甲斐がありました！少し更新には間が空きそうなので、ぜひ読み返して待っていていただけると幸いです。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: 4c47738fc0 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - お邪魔いたします、月華と申します。豪華な顔ぶれの企画ですね、一気読みさせていただきました。企画�，判颪�れているので、�◆↓�…と続くのだろうと勝手にわくわくしています。作家様たちの各ページも楽しみにしています。ありがとうございます。 (2019年8月18日 21時) (レス) id: 7021cebe65 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 大好きな、素晴らしい作者様しかいなくて本当に感激です…！ずっと読みます…！ (2019年8月18日 19時) (レス) id: d8bd4f2439 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：QDC (QuizKnock Dream Co-authors)
| 作成日時：2019年8月17日 19時
