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佐久間さんが帰ってこなくなって4日が経った
彼はどれだけ空いても2日に一回はここに来ていたのに
彼がどこで何をしているのか
連絡すらくれない
ここに彼が居ないだけで存在はぼやけ、それが息をしているのか、今、ちゃんと生きているのか
そんなことすら怖くなる
変わりというように、大学や、両親、はたまた友人からの連絡は頻繁に入っていた
でも、それはどれも上辺のものなんだ
やがてそんな連絡も途絶えた
4日もまともに飲まず食わずのさらには寝らずの番をしていたら、さすがに身体が限界を迎えたのか私は携帯を握りしめたまま意識を飛ばすように眠っていた
次に目を覚ました時は、彼が帰ってこなくなって5日目の早朝だった
ズキズキと痛む頭もキリキリと違和感のあるお腹も
ソファの上に丸めた身体のどこもかしこも痛くて、私は佐久間さんが居ない世界でもこういうふうに根気強く生きてるんだなって思った
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
起き抜けの頭ではっきりしていなかったけれど、インターホンが何度も鳴っていたことで目を覚ましたのだろう
佐久間さんはスペアキーを持ってるから、インターホンを鳴らすことはまずない
私にとって、今は佐久間さんかその他でしかなくて、もうその相手もどうでも良いのに
しつこく鳴らされるインターホンにさすがに居留守を使うのも申し訳なくなって
床を這うようにして玄関まで向かい、玄関にしゃがみこんだままどうにか鍵だけ開けた
その瞬間にパッと開かれるドア
長く暗闇の中にいたせいか、ドアの隙間から漏れる朝日にすら目を開けられなくて
そのドアの向こうから玄関になだれ込んできた人物が誰なのかもまともに見れなかった
「Aっ、」
私の名前を呼ぶ声
ひしと抱きしめられた体温
背中に回る腕の力強さ
耳元で聞こえる息遣い
誰でも良い、とかじゃない
それが誰かなんて頭の中で理解するよりもずっと先に、私はその大きな背中に腕を回していた
多分、私も、君も、泣いていた
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なむる。(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！この作品自体を美しいと言っていただけること…これ以上に嬉しいことはないです！また新しい作品でも出会えること願ってます。ありがとうございます！ (2021年2月10日 6時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 凄いという言葉しか出てこない、語彙力の無い自分が恨めしいです。セリフや文章表現の仕方など、とにかく美しい作品をありがとうございました。 なむる。さんの作品が大好きなので、これからも応援しております。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: bdef6e19e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2021年1月14日 22時
