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私達の家に長く住んでいた叔母は、その一ヶ月後くらいに出て行った
当たり前のようにあった空間がなくなる
それは何だか私の心をとても寂しくさせた
あの挨拶の日以来、今度は叔母と、母と、私とで叔父と従兄弟の住む家へお邪魔した
相変わらず、ぶっきらぼうな視線をこちらへと寄越す彼は、皆から離れてリビングの奥にある本棚に、叔母が持ってきた本を締まっていた
どこか品のある、静を思わせる仕草に遠くから見とれていると、彼に叔父が声を掛ける
「おい、涼太ー。ちょっとコンビニで甘いものでも買ってきてくれ」
そんな申し出に対してポカンとした顔をする彼
そこに母も混じって、母の視線がこちらに向いた時には私もその輪に知らぬ間に入れられていた
秋の始まりと言ってもまだまだ暑い外
前を歩く彼の背中は、丁度大人と子供の真ん中みたく
私よりも大きいその背中に着いていく足は、自然と軽やかになる
家とコンビニの往復は終始無言で、あらゆる外の騒音が場を包む
彼らの家まであと少しって時に、彼の背中越しに交差点を横切る老夫婦が見えた
そんなとき、車椅子に座る婦人が被っていた帽子がハラリと足元に落ちた
それと同時に、目の前の彼の背中が動こうとする
でも、それよりも先に走り出した私は、帽子が落ちたことを知らないご主人を呼び止め、帽子を拾い上げる
事を理解したお二人は柔らかく私にお礼を言ってその場を後にした
素敵なお二人だったなーって走ってきた道を戻ると、晴天の下に彼はボーッと立っていた
近寄ってみると、彼は相変わらずこちらに視線を向けるだけで
「先、歩いてくれないと帰れないよ」
「あっ、そうか、」
ハッ、としたように歩き出した彼は、これから、私が共に歩まなくてはいけない人
「叔母さんのこと、宜しくね」
私は、どんな顔をしているのだろう
「叔母さんのこと、泣かせないでね」
彼は、どんなことを思っているのだろう
「当たり前だよ。家族だもん」
静かな、でも凛とした声で彼はそう言った
涼太は、人を幸せにできる人だね
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
