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『貴方は綺麗な子だから。女の子は、みんな綺麗でいなきゃね。』
叔母はそう言って、私に口紅をくれた
叔母のお古のものだけど、黒いベーシックなパッケージに、ピンクベージュの慎ましい色味の口紅だった
初めて手にしたもの
今まで、そんなものとは縁がなかったから
女性として、いつでも口紅を纏っていなさい
それは、女性の象徴であり、美しさに対する自信になるからって
叔母の言う言葉を全て理解するにはまだまだ幼い自分だったけど、手の中にある口紅がとても特別なものに思えて、宝物のように感じて
初めて口元に差す色は、本当に少しだけかもしれないけど、私を女性に近付けた
上がる口角に、ピンクに色付く口唇が綺麗だと思った
そんな叔母が再婚したのは、それから2ヶ月くらいしてからだった
叔母は数年前に離婚しており、今は私達の家に一緒に住んでいる
色々な苦しいことを経験してとても弱っていた叔母だったけど、そんな叔母の口唇はいつだって綺麗に色付いていて、そんな叔母は私にとっていつでも美しい人だった
叔母の再婚相手と、その息子、つまり私の従兄弟になる人が挨拶に来た時のことは、とても鮮明に覚えている
残念ながら、自分の周りには従兄弟なんていう存在はなく、初めてそういった類の人が唐突に現れたのだから
夏休みの半ばくらいだったと思う
まだ暑い時期に現れた、私の叔父となる人は、とても優しい顔をして叔母を見つめる人だった
叔母からは少しばかり話は聞いていたけど、実際に見てみると実感した
この人が叔父なのかって
そして、そんな叔父の隣でジーッと私を見つめてくる男の子が、私に出来た従兄弟
高校の制服なのであろう、半袖のカッターシャツ
そこから覗く白い肌は彼をとても静かな人に思わせる
そして、短い髪が彼を実際の年齢よりも少しばかり歳上に見せ、
綺麗な瞳はそれでいて柔らかい印象
従兄弟と言っても、もうこの歳になったらただの遠い親戚だろうって思ってたのに
ぶっきらぼうに逸らされた視線に妙な好奇心が湧く感覚
それでいてどこかに居座る懐疑心
ちぐはぐな心の理由なんて分からず、その従兄弟の名前が涼太ってことだけ
鮮明に覚えていた
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
