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Sakuma side.
『ざんねん〜じゃあまた今度ね！俺も頑張るから！』
空元気だよなーって思いつつ、無闇矢鱈に絵文字が並んだメッセージを送り返したのは、次の日だった
既読が付いたけど、それからは返信がなかった
舞台の内容が告知されてから、今日が初めての稽古
そうは言っても俺が任されたシーンはたったのワンシーン
ただそこでは俺一人の舞台
15分間という長丁場での踊り
小劇場の小さな舞台が、その瞬間は全てが俺の世界になる
集中しなきゃ
そうは思っても俺にとっては思ったよりも大打撃だったんだ
振り入れして、何度も身体に馴染ませたはずの踊り
稽古の間に何度も踊らせてもらったのに
音と俺と身体がバラバラだった
演出家や役者も怪訝な顔をしていた
仕事、仕事って頭を切り替えようと思っても上手くできなくて、恥ずかしくなって、稽古終盤はただ椅子に座って稽古している役者たちを眺めているだけだった
その日の稽古は一段落して、熱心な役者たちがセリフ合わせなんてしている間に俺は稽古場を抜け出した
もう夜は更け、人通りも疎らな裏路地
バッグの奥の方に大事に締まってた件のチケットを取り出す
阿部ちゃんとの何かを変えるキッカケだったものは、もう何の意味も持たない紙切れに思えてしまった
情けなかった
こんな俺も、そんなこと思ってしまう俺も
そうだ、あの子にでも渡そうかな
そんなに誰かとの繋がりがあるわけでもないから
昨日、俺の気持ちをほんのちょっと見てしまった彼女にでも
それは何の気なしなんて言いたいけれど、心の奥の方では従兄弟とやらと手を繋いで去っていった2人に対して
ちょっとした渇望の気持ちと嫉妬の表れ
だから何？なんて言われたらそこまでだけどさ
少なくとも、Aちゃんが俺に向ける視線くらいは気付いてるから
グチャグチャになってしまうかもしれない
自分自身の危うさに時々怖くなる
でも、それと同時にグチャグチャになってしまえば良い
そうとも思ってしまうんだ
君たちだって、限りなくグレーゾーンに立っている
正解か不正解かの世界で、不正解しか選択できない歪な俺たちの関係性
ギリギリで保っていた均衡を崩すキッカケを作ったのは
紛れもなく俺自身なんだ
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
