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Sakuma side.
誰かを好きって感情を持っていると、同じ感情を持った人の瞳はすごく分かりやすい
宮舘って名乗ったあの精悍な顔立ちの人
その瞳も、態度も、言葉も
すごく分かりやすい
「行っちゃったぁ」
2人が立ち去った空間は急に空虚で、暗闇の中にポツリと俺一人が佇んでいる
俺の言葉は誰に向けたものか
そんなの俺だって分からない
事務所のドアの鍵をポストに締まって歩き出すと、ポケットの中から軽快な着信音が鳴った
慌てて取り出して携帯の画面を開く
その明るさに目を細めつつ、液晶画面に映されたメッセージをなぞる
『ごめんね。その日は先約があるんだ。残念だけどまた次の機会に』
誰からのメッセージかなんて確認するまでもなく、俺はその返信に泣きたくなった
もしかしたら、なんて思ってメッセージ画面を暫く見つめていたけど、一向に何かが動く気配なんてなかった
今まで良くしてくれていた舞台役者の伝で、ある小劇場で行われる舞台に特別出演することになった
その話を貰ったのは随分と前だったけど、漸くそれを公に出来たのが先週のこと
俺にとっては初めてこんな立場で立たせて貰える舞台
少なからず、俺の今までが形になった瞬間なんだ
関係者席なんてものもあって、特別に公演一日目のチケットを一枚譲り受けた
誰を誘うの？て聞かれたけど、秘密って答えた
俺の手元にあるチケットが、彼との何かを変化させるキッカケになるかどうか、賭けも同然だったから
あれから電話番号で追加したアカウントで、阿部ちゃんにメッセージを送った
滅多にメッセージなんて送らないから、最初は何の気なしのメッセージから
でも、馬鹿な頭で沢山沢山考えて、それでいて不自然じゃない流れで
俺もビビりだよななんて呆れつつ、バイトの休憩時間に漸く阿部ちゃんを舞台に誘った
阿部ちゃんは凄く丁寧な返信をくれるから
でも返信が届かない間は凄く怖かった
どう転んでも、それは俺にとって良くないもののような気はしていた
そして、届いた返信
だよなぁ、なんてヘラヘラ笑ってみたものの、口から漏れるのは溜息ばかり
今、ちょっと返信なんて出来ないや
液晶画面を閉じて、歩道のど真ん中で立ち止まった
そしたら、後ろから歩いてきたサラリーマンのおじさんに去り際に舌打ちされた
嫌いだって思った
皆が敵に思えた
俺の心も知らないくせに
俺のこと何も知らないくせに
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
