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Miyadate side.
結局、Aとはそれからまともに話はせず、1時間程歩いて彼女の家に着いてしまった
彼女の家に来るのは初めてだ
割と新しそうなマンション
そのエントランスまでAを送った
「今日はありがとう」
「ううん、涼太も」
彼女の手には既にキーケースが握られている
それが何だか俺の胸を締め付けた
何か、言うべき言葉があるはずなのに
「じゃあ、また」
「うん、また」
いつもの彼女だったら、急によそよそしいなって笑う筈なのに
こういう時はしっかりとこっちの感情まで察してしまう
エントランスの入口、彼女はオートロックを解除した
また、今まで通りになるのかな
そんなことをぼんやりと思いつつ彼女の背中を見ていたけど、Aは結局、入口を抜けずに立ち止まっていた
「どうした？」
俺の声に、ちょっと弱々しく笑った
「ねえ、また戻ってよ。あの頃みたいに、従兄弟の宮舘涼太に」
Aの指すそれが、高校生の頃の、あの僅かな一時を示すものってことはすぐに分かった
それは、俺にとって残酷なものだった
そして、俺が何よりも求めていた答えだった
Aはきっと、俺のこの想いなんてずっと前から知っているんだ
隠すのが下手な俺に対して、彼女は知らないフリが上手だった
だからこそ、その酷さも知っているから、現にそんな顔をしている
俺は、何が正解かなんてもう分からない
でも、Aが言うように正解か不正解かしか選べない俺にとって、それはもう大罪なんだ
Aがそう言ったんだ
これは、もうお互いが口にしないだけの共通認識ってことで、良いのかな
それが形になってしまわなければ、今はあやふやなものってことになるのかな
身勝手だな
俺も、お前も
この世界はとても不条理で、だからこそ俺もお前も誰かに恋をする
そんな簡単な話
エレベーターに吸い込まれていくAの姿を見送った
1、2と階数表示が変化すると共に、俺はその場に蹲った
「好き、だよ」
今まで決して口にはしなかった
それが、悪いことだって知ってたから
言葉にしてしまったら、きっと誰かを傷付けるって知ってたから
でも、今だけは
俺に無関心な人ばかりのこの夜空の下
小さく溢れた確信の言葉は、
誰にも拾われることなく俺の手元にだけ
そっと転がり落ちてきた
.
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
