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Miyadate side.
『宮舘くんと居ると、疲れるの』
つい数十分前に言われた言葉を頭の中で反芻しつつ、その子と積み上げてきた少しの時間を記録する写真だったり、連絡先を消していく
大学生になって付き合い始めたその子は、静かな子だった
いや、そう勘違いしていたのかもしれない
写真だって、メッセージの履歴だって
随分とあっさりとしたものだって我ながらに呆れた
俺は、きっと彼女のことを何も知らなかった
自分がそう思っていること
相手にそう思わせてしまったこと
彼女にとって、俺と居る時間がただマイナスな感情しか与えないものだとしたら、これが最適解なのかもな
親元を離れてもう1年と少しが経った
もちろん、定期的に実家には帰っている
ただ、大学生にもなればその距離は意外と遠い
そして、それ以上にAとの距離を遠いと思ってしまう
俺から開けたはずの距離は、自分が一人になった瞬間からとても冷たいものだと感じた
それと同時に、やっぱりいくら足掻いても俺の心の奥にはあいつがちゃんと居る
それは、一つの使命感みたいなものかもしれない
Aと連絡を取らなくなった訳ではない
律儀なAは業務連絡みたいに時々電話を掛けてくる
俺の通う大学からも程近い学校に通い始めたこと
本屋のバイトを始めたこと
バイト先の先輩に面白い人が居ること
ただ、そこにはAの感情は薄くしか見えなくて
いつも俺に一方的に痴話喧嘩を吹っ掛けてきていたような彼女だから、俺には弱いところを見せたくないのかもって
俺も俺で、Aに喋らせるばかりで肝心な自分自身のことは伝えていない
らしくない、ていつの間にか作り上げられていた宮舘涼太っていう虚像を崩すのが怖くて
Aに、俺の弱いところは見せたくない
妙なプライドがあって、でも、今回ばかりはそんな積み上げてきたプライドも揺らぐくらいには俺も思ったよりも心が弱っていた
俺、ちゃんと傷付いてんだ
別れ話を切り出された大衆食堂のテーブル席
彼女は注文した料理には手を付けず、お茶を一杯だけ飲んで帰っていった
そんな、あっさりとした時間だった
ガヤガヤとした店内で、俺は一人、黙々と自分の携帯の中にある彼女との時間の証拠を消していくだけ
虚しいこと
そんな作業も意外とあっさりと終わってしまった
「無くなっちゃった」
ポツリと呟いた独り言は、食堂に漂う煙草の煙と共に消えていった
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
