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Sakuma side.
小学生の頃から通っていたダンス教室に阿部ちゃんが入ってきたのがいつかなんて、正直曖昧なところ
そのダンス教室では月一回程度の特定の公演でパフォーマンスさせてもらえて
その度に新しいグループを組む奴らもいれば、特定のメンバーとずっとグループを組んでる奴らもいる
比較的に緩い構成の中で、俺は大体が一人だった
もちろん、高校生になってからも俺はどっちかといえば引っ込み思案で、あまり自分から他人に話しかけるタイプじゃなかったってこともある
ただ俺が勇気を出して話し掛けた奴らは、大体決まって似たような曖昧な笑顔を作って俺を遠ざけた
別にそこに疎外感を感じていた訳ではない
みんなに、ダンスが上手だねって言われてたから
その度に、俺はもっともっとってダンスにのめり込んだ
それが、俺に対する肯定なのだからって
その時もそうだった
ある時期からダンス教室の先生に、今回の公演も一人でって言ったら、もう出なくて良いって言われるようになった
何か上手い言い訳をいくつも連ねてた
ダンス教室の生徒が増えたからとか、今回は出演グループが多いからとか
それでも食い下がる俺に、先生は冷たく言った
お前は個が強いんだよって
何を当たり前なことって思ったけど、それからも頻りにその言葉を言われた
そのうち、俺が公演に出させてもらえる機会はどんどん減った
元来、グループで出演するのが当たり前なのだから
ただ、それは俺にとって生き地獄、飼い慣らされた犬みたいだって思った
ダンス教室の真ん中とか舞台上で踊ってるグループの子達を見て、良いなーって泣きたくなった
きっとそれが正解なんだろって、グループを組もうと躍起になることもあった
ただ、一度そういう集団から離れてしまった俺はなかなか収まりどころを見つけられず、余計にダンスだけに取り憑かれた
皆の休憩時間に課題曲を流して目一杯踊った
俺だけの会場
俺だけに集められた視線
最高に気持ち良い瞬間がそこにあるから
その日も、いつもとなんら変わりなかった
先生の声で休憩に入った皆を横目に、オーディオに課題曲のCDを入れる
流れ出した音楽に一つ吐き出した息
目を開けたら、もう世界は音と共に変化してる
音に同化する
音に身体を沿わせる
そんな感じ
音楽が止まると同時、プツって俺の中の世界が切り替わって、ふと皆の視線を強く感じた
見たか?俺の独壇場
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって!!ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります! (2020年9月16日 7時) (レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた!なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なむる。 | 作成日時:2020年8月23日 23時