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Sakuma side.
会わなくなって一年半近く
もうどこかで諦めていたのかもしれない
ちゃんと話していればっていくつも後悔した
でも、それは間違いじゃなかった
俺は、こんなにも君の姿を覚えてる
「あべちゃ……」
レジカウンターの中、俺の小さな小さな呟きに反応したのは、隣に立つAちゃんだった
彼女はチラリと俺を見たあと、何も言わずに正面を見据えていた
こっちになんて目もくれず、エッセイ本の棚や文庫本棚をジグザグと歩く阿部ちゃんを目で追う
本棚の間からチラチラと覗く彼の姿を片時も見逃したくなくて
「お知り合いですか？」
そう小さく聞かれる
は、として隣を見ると、Aちゃんが研修中ってシールの貼られた名札に触れながら俺に聞いてきた
Aちゃんはつい先月からここでバイトを始めた、今年大学生になったばかりの子
俺はその教育係
そっか、阿部ちゃんと同い年なんだって、それがちょっとだけ羨ましかった
「多分……俺の見間違いじゃなかったら」
「何ですか、それは」
訝しげな視線を俺に向けるAちゃんに曖昧に笑いかけて、俺はまた阿部ちゃんの方を見た
良かったって思った
俺の感情はまだ、ちゃんと生きてたんだ
「これ、お願いします」
それから暫く本屋の中を歩いていた阿部ちゃんは、その手に2冊の本を持ってレジカウンターに歩み寄った
やっぱり、そうだ
「阿部ちゃん、で合ってる？」
出来るだけ平静に
震える気持ちが表に出ないように
自然に、自然に
弾かれたように顔を上げて俺を見た阿部ちゃんは、少しの間の後に思ったよりも大きな声を出した
「え、佐久間くん…だよね！？」
「ひっさしぶり！」
カウンター越しの微妙な距離に、二人で笑った
単純に嬉しかった
また、君の声で俺の名前を呼ばれたことが
作業を続けつつ、そこで話せるだけのことを話した
俺は今、ダンサーとして活動してること
阿部ちゃんは志望校に受かったこと
お互いの夢が、少しずつ動き出してること
話したいことは山積みで、俺の止まらない言葉に阿部ちゃんは困ったように笑った
あ、間違えた
その距離感とか
「ごめんごめん、懐かしくってさ」
いつの間にか、阿部ちゃんの背後にお客さんが並んでた
隣のAちゃんが動いて、そのお客さんをもう一個のレジへと案内する
「俺も嬉しかった。また、電話するね」
阿部ちゃんは俺が差し出したレジ袋を持って去っていった
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
