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佐久間さんは私の一個年上の人
文庫本棚を担当する私に対して、彼はコミック本棚担当
大学には通ってないみたいで、バイトのシフトも曜日問わず時間もあやふやなふわふわした人
それでいて、自然生まれのポジティブ人間みたく、とんだクレーマー叔父さんに対しても笑顔で対応できるような人
でも、実際の彼は思ったよりも秘密主義で、私の知りたいって気持ちにも曖昧に笑い返すだけ
ここに入って数カ月で漸く彼はその重たい口を少しだけ開いてくれるようになった
どうやら、彼はこの街にいくつもある小劇場でダンサーをしているらしい
劇団に入ってる訳ではなくって、ソロで踊るダンサー
何かの劇とかライブとかの前座の仕事を最近は貰えるようになって
ファンの人も少しは居るんだぞ！って照れくさそうに笑いつつ、レジ締め作業をしながら言っていた
普段の本屋の彼しか知らないから、その踊る姿は想像できなかった
一度だけ彼が踊る動画をネットサイトで検索したことがある
ポツポツと見つかった動画のサムネイルには私が知っている金髪頭の彼が小さく映っていた
結局、その動画は見なかったけど
佐久間さんとバイトのシフトは合っても週に1回程度
その空間に居る彼しか私は知らない
私の身の回りにはいないタイプの人だったからか、佐久間さんは私にとって興味の対象だった
テキパキとした働きっぷりも、お客さんと所謂推し談義をしている姿も、よいしょーって軽々と大量に積み上げられたコミック本を持ち上げる姿も
レジカウンターからコミック棚を見て、そこからチラチラと覗く金髪頭にふふって笑って
それは、好きって感情でしょ
不倫夫を見て見ぬふりしてパートに勤しむここのお局様に言われた時、それを否定する理由も容認する理由も、私にはなかった
丁度、休憩に入っていた佐久間さんと同じくらいのタイミングで私も店に立つ
レジカウンターの中で紙のブックカバーを折る私と、対して今日入荷した分のコミックを補充する佐久間さん
コミックは毎日のように凄まじい量が発行されるから棚出しも大変だろうなって思いつつ、ニコニコしながら新作棚にコミックを納める彼を眺める
楽しそうに仕事する人だなーなんて思ってたら、レジの前に人が立っていて慌てて対応する
「お預かりします」
「お願いします」
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
