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ほんとにとんでもない提案を受けてしまったと思う。





「Aー」


廊下から声をかけられて、廊下側一番後ろの席のわたしが顔を上げると、そこには予想通りの笑顔があった。(ていうか他にいない)


「おはよっ」


人懐っこい目が細められている。

ずるい……内心ときめいた心を無理やり抑えて、わたしはどぎまぎしつつ、視線を合わせずぺこりと頭を下げた。


「A…笑顔はどうした?」


早速ダメ出しをくらってしまう。焦ってなんとか苦笑いを浮かべたけど、彼はなんだか不満げだった。





というか。

今まで幽霊か座敷わらしとしてクラスの空気役に徹していたわたしが驚くほど、いまわたしたちは、クラス中の視線を集めているのがわかる。


もちろんその原因はわたしではない。


目の前のこの人。


昨日、わたしの先生になったらしい、隣のクラスのイケメン。永瀬廉。


…いまも、そこかしこから、廉くんカッコいい…目の保養……という女子のため息交じりの声が漏れている。

それと同時に、なぜわらしなんかと喋ってるの?という疑問と憤りの視線もビシバシと感じて……





「おまえ、今日の放課後あいてるよね?
ふたりで出かけよ」


屈託のない永瀬くん……もとい廉くん(昨日何度も練習させられた)は、まわりの視線なんて全く気にならないようで、誤解を招きそうなことを平気で口にした。

まわりのざわめきはとうぜん、倍に膨らんだのを肌で感じて、わたしはうなだれた。







おい、わらし、どういうことだよ、調子にのるなわらしのくせに、と柄の悪い口調で女子に1日で何度も絡まれ、そのたびになんでもないんですただの知り合いですごめんなさい…とひたすらビクビクして謝り続けたわたしは、

放課後、廉くんとの待ち合わせ場所の駅に着く頃には疲労困憊していた。

(会話の練習にはなったかもしれない…)





「おそい、A」


口調のわりにさほど不機嫌でもなさそうな廉くんは、制服姿でも人ごみの中で目立って見えた。

通りすがりの人が、ちらちらと彼に視線を向けて通り過ぎていく。

カッコよくない?なんて声も聞こえてくる。

イケメンの見る世界ってすごい…。







「あの…」


わたしが喋り出すと、廉くんは必ず黙って、まっすぐわたしの目を見る。

わたしのペースを待つように。

人一倍話すのが苦手なわたしのためにそうしてくれているんだとわかるんだけど、なんだか逆に緊張してしまう。

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設定タグ:永瀬廉 , King&Prince , 平野紫耀   
作品ジャンル:タレント
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こんぶ(プロフ) - はじめまして。とーーーーーーーっても面白かったです!店舗もよく長さもちょうどよく、スラスラ読めました。主人公がどんどん廉くんに変えられていって、色づく二人の世界がもっと見たくなりました!付き合ってからの続編とか…希望です^^* (2019年12月30日 3時) (レス) id: d4a749af9f (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - yukiさん» yukiさん、ありがとうございます!お話が好きと言っていただけて嬉しいです。次回作、まだ未定ですが考えているので、upした際は読んで頂けたら嬉しいです! (2019年9月26日 14時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - お疲れ様でした!!お話が好きで更新がとても楽しみでした!次も楽しみです! (2019年9月25日 16時) (レス) id: 5a8ccb1156 (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - Sさん» Sさんありがとうございます!ご期待に添えるか不安ですが笑いちゃいちゃさせられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年9月22日 11時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 本編完結おめでとうございます!番外編でれんくんといちゃいちゃしてるとこいっぱい見れたら嬉しいです! (2019年9月22日 7時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜 子 | 作成日時:2019年9月18日 13時

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