5-8 ページ33
…知らないんだ。
わたしが毎日、どれだけ廉くんに救われてたか。
廉くんのかけてくれる言葉のひとことひとことが、どれだけ嬉しかったか。
「そっか」
廉くんは、力なく笑った。
その表情をみたわたしは、ようやく安心して、うん、とうなずく。
「ありがとう」
廉くんの声は弱かった。
……嫌われるのが怖くて、
いつも、何も言えない。
でもこれだけは伝えたかった。
わかって欲しかった。
わたしがどれだけ廉くんに感謝しているか。
でも、視線を逸らした廉くんは、悲しそうにみえた。
「……ねえ。
俺、お前がずっと誰とも喋れずにいればいいって思ってる、って言ったら、どうする?」
「……え?」
そのまま、目も合わせずに立ち去る廉くんの背中。
「どういうこと……?」
口から漏れた声は、あまりにも頼りなかった。
……わたしが間違えたんだ、と思った。
でもどこで間違えたのかわからない。
……優しい廉くんに、あんな悲しい顔をさせてしまうなんて。
わたしの存在が、廉くんを不幸にしている。
・
「………」
その時の様子を、影から見ていた人がいたなんて気付かなかった。
・
1202人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こんぶ(プロフ) - はじめまして。とーーーーーーーっても面白かったです!店舗もよく長さもちょうどよく、スラスラ読めました。主人公がどんどん廉くんに変えられていって、色づく二人の世界がもっと見たくなりました!付き合ってからの続編とか…希望です^^* (2019年12月30日 3時) (レス) id: d4a749af9f (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - yukiさん» yukiさん、ありがとうございます!お話が好きと言っていただけて嬉しいです。次回作、まだ未定ですが考えているので、upした際は読んで頂けたら嬉しいです! (2019年9月26日 14時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - お疲れ様でした!!お話が好きで更新がとても楽しみでした!次も楽しみです! (2019年9月25日 16時) (レス) id: 5a8ccb1156 (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - Sさん» Sさんありがとうございます!ご期待に添えるか不安ですが笑いちゃいちゃさせられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年9月22日 11時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 本編完結おめでとうございます!番外編でれんくんといちゃいちゃしてるとこいっぱい見れたら嬉しいです! (2019年9月22日 7時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菜 子 | 作成日時:2019年9月18日 13時