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「廉くんは優しいんです。
みんなに優しいです。
調子になんて乗ってません。見下してなんていません。
確かに意地悪な時もあるけど……、ほんとは、周りをすごく見ています!
辛い時だって、自分は我慢して、人のことを気にしてばかりで……
廉くんは、ほんとうに、すごい人なんです!
それを、くだらない嫉妬で、わざと怪我させるなんて……、あなたたちは、最低です!!」
一度に言い切って、はあ、はあ、と肩で息をする。
こんな……こんなに、わたしが気持ちを叫べるなんて。自分でも驚いていた。
先輩たちは困ったように顔を見合わせている。
「なんだよ、おまえ」
「そんな暑くなってバカじゃね?」
すると先輩の1人が、あっ、と何かに気づいた声を上げた。
「思い出した、弟が言ってたんだ。
こいつ、あれだよ。永瀬につきまとってる地味な女。
なんだっけ……、そう、わらしだ」
かあ、っと羞恥心で顔が熱くなる。
「わらしって、何それ。ダサ!
てかあんた、結局、永瀬に遊ばれて本気になっちゃった女ってわけか」
「熱くなっちゃってー。
かわいいね。
そんなに永瀬が好きなの?
かわいそう」
ブルブルと手が震える。
そんなんじゃ……ちがう、そういいたいのに、唇が震えて言葉が出ない。
「永瀬があんたみたいな女、相手にするわけねえだろ」
「黙ってろよ、ブスは」
「遊ばれてんのに気づかないの?」
「それで永瀬をかばって、あんたも気の毒だね」
悔しくて悔しくて、泣きそうで、
でも絶対泣きたくなくて、
どうしよう。
泣いちゃう……!
・
「ばか」
耳元で囁かれて、急に視界が暗くなった。
何も見えなくて、一瞬焦るけど。その声だけで誰が来てくれたのか、わかってしまう。
・
「廉くん……」
・
わたしの両目を片方の手のひらで塞ぐ廉くんは、もう片腕でわたしの体をぎゅっと抱きしめて、
「……おまえ、何やってんの。
怖がりのくせに、大声出して……」
「……っ」
保健室まで聞こえた、と呆れたような廉くんの声は、優しかった。
だって……。
廉くんが悪く言われるのが、耐えられなかった。
自分のことより、ずっと。
耐えていたのに、やっぱり涙がこぼれてしまう。
それは、手のひらから廉くんにも伝わってしまったようで。
廉くんはキレた。
「俺のことは、どう言ってくれてもいいんですけど。
こいつに向けていったことだけは、許せないです。
責任取ってくれますよね?先輩」
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こんぶ(プロフ) - はじめまして。とーーーーーーーっても面白かったです!店舗もよく長さもちょうどよく、スラスラ読めました。主人公がどんどん廉くんに変えられていって、色づく二人の世界がもっと見たくなりました!付き合ってからの続編とか…希望です^^* (2019年12月30日 3時) (レス) id: d4a749af9f (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - yukiさん» yukiさん、ありがとうございます!お話が好きと言っていただけて嬉しいです。次回作、まだ未定ですが考えているので、upした際は読んで頂けたら嬉しいです! (2019年9月26日 14時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - お疲れ様でした!!お話が好きで更新がとても楽しみでした!次も楽しみです! (2019年9月25日 16時) (レス) id: 5a8ccb1156 (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - Sさん» Sさんありがとうございます!ご期待に添えるか不安ですが笑いちゃいちゃさせられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年9月22日 11時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 本編完結おめでとうございます!番外編でれんくんといちゃいちゃしてるとこいっぱい見れたら嬉しいです! (2019年9月22日 7時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜 子 | 作成日時:2019年9月18日 13時