Ex2-2 ページ48
そして、みんなから少し離れた場所で、2人かなり近くまで顔をつき合わせて仲良く話し始める。
なれない演技をしながら、わたしは内心うなだれた。
うぅ……。
こんなことで、廉くんがやきもちなんてやくわけがない……。
「ほら、リラックスリラックス」
お友達は苦笑して、わたしの背中を手のひらでさする。抱きしめられているような近さだ。
一体何をしているんだろう、自分は、と自己嫌悪に陥っていると、
突然腕を力強く引っ張られて、
「うわっ」
体が宙に浮いた。唐突にお友達との間に廉くんのからだが割り入ってくる。
「……おお、れん、おかえり〜」
「……」
廉くんはわたしの腕をしっかり掴んだまま、まったくの無表情で、お友達を睨みつけた。
「何してんの……」
「ん? いや、別に何も」
にこ、と笑うお友達。廉くんの不機嫌モードをものともしない態度に、わたしは自分がしでかしたことながら冷や汗をかく。
「なーに、廉。まさかこんな、ちょっと喋ってただけで、やきもち焼いたなんて言わないよねえ?」
「焼いたに決まってるでしょ」
廉くんがはっきりと答えて、わたしは驚いて廉くんをみた。
「そうなるってわかってて、わざとこんなことしておいて、何言ってんだ?」
お友達はあ、やっぱばれてた?と肩をすくめた。
Aも、と廉くんの視線がこちらに移って、血の気が引く。
「こんな試すようなことするなんて、心外。
どういうつもりなの」
まごつくわたしに、お友達が割り入る。
「Aちゃんは不安なんだって。
お前がいつもカッコつけてるからー。
だめだよね、ちゃんと安心させてあげなきゃ」
さらり、と白状してしまうお友達に焦る。
廉くんがわたしをジロリとみて、
「……そうなの?」
わたしは無言で目をそらす。
廉くんはわたしの手を取ると、
「わ」
強引に歩き出した。
「帰ろ」
「じ、授業は」
「早退。
俺の部屋、いく。
今日親、いない」
有無を言わせない態度。
「え、でも」
「俺、反省してるんだ。
お前を不安にさせないように、態度で示さないとね」
予想外すぎる展開に慌てると、振り返った彼が言った。
「俺のカッコ悪いとこが見たいなら、これから嫌ってほど見せてあげるよ」
2人きりでね、と悪魔的に笑う廉くん。
わたしは計画の成功を悟ると同時に、今日のいたずらを心底後悔した。
・
END
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こんぶ(プロフ) - はじめまして。とーーーーーーーっても面白かったです!店舗もよく長さもちょうどよく、スラスラ読めました。主人公がどんどん廉くんに変えられていって、色づく二人の世界がもっと見たくなりました!付き合ってからの続編とか…希望です^^* (2019年12月30日 3時) (レス) id: d4a749af9f (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - yukiさん» yukiさん、ありがとうございます!お話が好きと言っていただけて嬉しいです。次回作、まだ未定ですが考えているので、upした際は読んで頂けたら嬉しいです! (2019年9月26日 14時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - お疲れ様でした!!お話が好きで更新がとても楽しみでした!次も楽しみです! (2019年9月25日 16時) (レス) id: 5a8ccb1156 (このIDを非表示/違反報告)
菜 子(プロフ) - Sさん» Sさんありがとうございます!ご期待に添えるか不安ですが笑いちゃいちゃさせられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年9月22日 11時) (レス) id: de17d94e28 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 本編完結おめでとうございます!番外編でれんくんといちゃいちゃしてるとこいっぱい見れたら嬉しいです! (2019年9月22日 7時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜 子 | 作成日時:2019年9月18日 13時