＊ short x short ＊～ King & Prince (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:11,789 hit

恋の終わり。＊Yuta.J ページ3

卒業式。

私の初恋は、今日ようやく終わる。

「先輩ー、第二ボタンくださいよ」

ふざけて頼む後輩の女の子に、先輩は、

「だーめ。もう予約済み」

そんな声を遠くから耳にして傷付く。

けど、仕方ない。私の想いなんて先輩が知るわけがないのだから。

・

「ねえ、そこの君。生徒会とか興味ない？」

初めて声をかけられてから、すべてが忘れられない日々。

先輩と2人で過ごした、生徒会室の匂い。

私はいつもドキドキしていた。

甘く苦い思い出。

ぼんやりとしていると、卒業証書の筒に頭を叩かれて、驚いて振り向く。

さっきまで後輩に囲まれていたはずの先輩が呆れたように笑った。

「お前、何泣いてんだよ」

「……すみません」

「ほら、笑え」

バカだな、って、むりやり頬を引っ張られる。

この悪戯な笑顔ももう見られない。

私は意を決して、叶わぬ恋に終わりを告げる。

「先輩のこと、好きでした。
卒業しても私のこと、忘れないでください」

すると先輩は少し驚いてから眉をひそめた。

「ちょっと。何、勝手に過去にしてんの？

お前が俺から離れられるわけないでしょ」

驚く私の手のひらに、先輩の輝く第二ボタンが降ってきた。