四 ページ5
＊
本の文字が霞む時間帯になった。
書庫に来てからそれなりの時間が経過したらしく、気が付けば自分の腕には身長と変わらない背丈の本が積まれていた。
これだけあれば、しばらくは書庫に来なくても済むだろう。
満足したので、自室へ戻ろうとしたその時。
「ん？誰？」
不意に後ろから声がした。
積み上がった本で顔は見えなかったが、声で気が付いた。
…ソクジン様だ。
一体なんでこんなところに、と言いたいところだが書庫なので出入りする事も、当たり前にあるだろう。関わりたくないと言った側から出食わしてしまうなんて、運が無いらしい。
JN「女の人が書庫に出入りするなんて珍しい。誰？」
覗き込むソクジンの顔を、手にある本の壁で遮る。
JN「…ヤー、誰って聞いてるんだよ。」
『わ、たしは…』
目の前にいるのは第一皇子。
キムソクジン。
私を殺 した張本人。
(一番会いたくないのに…っ)
自身の許容範囲を超える出来事に目眩がした。
なんだか頭も痛い。
静かに黙り込むAを、ソクジンは怪訝な顔で見下ろしていた。
(………よし。逃げよう。)
持っている本をしっかりと抱え直し、そして相手の弁慶を思いっきり蹴飛ばす。
ソクジンが患部を抑えて床に転げた隙に、突き飛ばすように相手を跳ね除けた。
そのまま扉を蹴破らんばかりの勢いで書庫を飛び出しがむしゃらに走る。
背後からソクジンの声が響いたが、そんなものでは止まらない。
皇子の弁慶を蹴飛ばしたのだ。
顔がばれたら即刻打首だろう、なんとしても逃げ切らなければ。
今のAの頭の中にはおしとやかに、なんて女の教えなど影も形も無い。
その証拠に、裾が捲れ上がろうとも速度を落とす気配さえなかった。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1723人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナ(プロフ) - 今更ながらとても面白いお話しに出会いました。 続きが気になります。遅くてもいいので、更新していただきたいです。応援してます。 (2021年7月21日 17時) (
レス) id: da4242094f (このIDを非表示/違反報告)
まーちゃん(プロフ) - とても面白くて続きが気になります笑今後も頑張ってください！ (2021年5月8日 18時) (レス) id: a7bc3f97af (このIDを非表示/違反報告)
Miyu Araki(プロフ) - すごく面白いです！続きが気になって仕方ありません！ワクワクしながら次の更新をお待ちしてます (2020年5月27日 21時) (レス) id: fa7968274d (このIDを非表示/違反報告)
mosao(プロフ) - カエデさん» 力になるコメントありがとうございます…！一気更新が中々出来なくて、やきもきさせてしまうかもしれませんが…ぜひ今後もお付き合いいただけると嬉しいです(o^^o)ありがとうございました！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 8f5d666d7c (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - めちゃくちゃおもろいですね!!!とても続きがきになってます！これからも更新がんばってください!!!楽しみに待ってます！！ (2020年5月14日 23時) (レス) id: 7235042400 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mosao | 作成日時：2020年5月7日 14時
