十二 ページ13
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人でごった返している露店を一直線に突き進み、迷いなく書店へ足を進める。
実は、ソクジン様がーというのは言い訳で、今回の目的は尊敬してやまない《晩秋の乙女》という作家先生の新作。
近頃、西洋からの影響で流行り出した推理小説を題材としていて、これが兎に角面白い。
溜まっていた鬱憤など綺麗さっぱり忘れて、頭の中は本の事で一杯だ。
意気揚々と書店の暖簾を潜ろうとしたその時。
建物の間で気分の悪い光景が見えてしまった。
「おら、立て！ちんたらするな、さっさと荷物運べ！」
小太りの男が拳を振り上げ命令している。
傷だらけで痩せ細った身体。
見るからに栄養失調な人は、力も出ないのか立ち上がれず、ただ黙って殴られている。
穏やかだった時間は儚く終焉を迎え、あっという間に沸点へと到達した。
止める侍女を振り切って、小太りの男の前へ立ち塞がる。
『弱った人に暴力を振るって楽しいのかしら。』
「なんだ嬢ちゃん。ソイツと同じ目にあいたくなきゃ、大人しくどきな。」
『いやよ。』
「…あのなあ、ソイツは俺の金で買ったんだ。どうしようと勝手だろう。悔しけりゃあんたが買えばいい！」
いやらしい笑みを浮かべながらの血も涙もない発言に、同じ人間なのだろうかとひたり見据える。
確かに…この御時世、人が売り買いされるのはありふれた話だ。
私も場所が良かっただけで、親に売られたのだから。
地面に倒れ小さく震える人間に、どうしても他人事だとは思えなかった。
『…買うわ。幾らでくれるの？』
「嬢ちゃん本気か？
まあいいさ。どうせ居ても使い物にならなかったからな、銅銭一枚でいいぞ。」
こんなにも簡単で粗末に、人が売り買いできるなんて余りにも悲しいものだ。
せめて、あの子にとって良い選択肢になるよう手を貸したい。それがただの偽善でも。
『ねえ貴方、名前は？』
「…ジミン。」
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カナ(プロフ) - 今更ながらとても面白いお話しに出会いました。 続きが気になります。遅くてもいいので、更新していただきたいです。応援してます。 (2021年7月21日 17時) (
レス) id: da4242094f (このIDを非表示/違反報告)
まーちゃん(プロフ) - とても面白くて続きが気になります笑今後も頑張ってください！ (2021年5月8日 18時) (レス) id: a7bc3f97af (このIDを非表示/違反報告)
Miyu Araki(プロフ) - すごく面白いです！続きが気になって仕方ありません！ワクワクしながら次の更新をお待ちしてます (2020年5月27日 21時) (レス) id: fa7968274d (このIDを非表示/違反報告)
mosao(プロフ) - カエデさん» 力になるコメントありがとうございます…！一気更新が中々出来なくて、やきもきさせてしまうかもしれませんが…ぜひ今後もお付き合いいただけると嬉しいです(o^^o)ありがとうございました！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 8f5d666d7c (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - めちゃくちゃおもろいですね!!!とても続きがきになってます！これからも更新がんばってください!!!楽しみに待ってます！！ (2020年5月14日 23時) (レス) id: 7235042400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mosao | 作成日時：2020年5月7日 14時
