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訪れる沈黙。
水などないのに、ぴちゃん、と水の弾く音が響く。
ここは彼女の精神世界。
死者の精神世界など、様々な記憶が交差しグチャグチャとしたものになるのが一般的なのだが、彼女は例外であった。
真っ黒で、上も下も右も左もない。
あるのは見えない水音。
精神世界は、自我を持ち始めてからそこにものがどんどん増えていくイメージで形成されていく。
人間で言う部屋に家具を置いていくイメージだ。
精神世界の“色”は、特にその“自我”が影響してくる。
彼女の精神は……当の昔に病んでしまっていたのだ。
「黙ってても、埒があかないよ。 ……じゃあ言い方を変えようか？
―――どうして殺したの」
水音が、より一層響いた。
「……彼は、“未完成”のまま、生まれてしまったんだ」
ワタシは、事実だけを述べる。
ワタシの解答に、彼女は一瞬眉を潜め、それで？ と言葉を促す。
彼のワードは、彼女にとって地雷そのもの。
最愛の弟――一真はAのすべてなのだ。
「……ワタシは彼に、輪廻の流れを組み込まず、世に出してしまった」
本来ならば必ず加えねばならぬ重要な仕事。
ワタシはそれを、“何故か”ミスしてしまい、彼を生んでしまったのだ。
「輪廻の流れを組み込まなかった人間は、どうなるか、分かるかい？」
ワタシの言葉に、彼女は考える素振りをする。
そして、ほんの数秒後に、口を開いた。
「大方、魂が彷徨い生まれ変われなくなる。 と、言った所だろう」
―――正解、だった。
「……そう。 だから、彼の魂は…」
「いやいや、ぼくが聞きたいのはそこじゃないから。 なんで一真を殺したのかって聞いてんの」
彼女にしたら、やや強めの言葉遣い。
ワタシは俯き気味に答える。
「……輪廻の流れを組み込まなかった、ということは次へは繋げない。 それと同時に、“前世”の記録もなにもないのだよ」
ワタシの言葉に、彼女は目を大きく見開いた。
「何、じゃあ前世の記録がないと、すぐ死ぬとか？ は、舐めてんの？」
苛立ちからか、首を掻きむしるA。
皮膚に嫌な音を立て、そして血がにじむ。
死後の精神世界と言えど痛みはある。
……しかし、彼女には“ソレ”がまるでないようだった。
「前世の記録がないと、すぐ死ぬ。 極論を言えばそうだね。 ……本来は、1歳にもならずに死ぬのだけれど」
彼女の指から、鮮血が滴った。
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奏 - えぇ…なくなってる………;つД｀)続編が欲しいです………(ノД`)・゜・。 (8月8日 17時) (
レス) @page38 id: 197e9c1dfa (このIDを非表示/違反報告)
ルミナス - 続編はどこへ、、続きが気になる。。神様教えて (2023年1月21日 19時) (レス) @page38 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ページが見つかりませんでした！？！？続き気になる…！ (2022年8月9日 10時) (レス) @page38 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
neruB(プロフ) - 続編なくなっちゃったんですか？ (2022年5月4日 6時) (レス) id: ac49fababa (このIDを非表示/違反報告)
こうめ(プロフ) - 紫苑の花………花言葉は、追憶でしたっけ？（書きたかっただけ (2021年4月19日 23時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年10月9日 1時
