検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:67,222 hit

*4 ページ4

.









星が綺麗に空を飾る時間、


伊野尾は一人公園のベンチに座る。






むすっとした頬をたずさえた伊野尾は、


先ほどケンカした薮のことを考える。






アイツが、忘れるからだ。






しかも開き直るし。






考えると余計に腹が立ってきて、


伊野尾はももをぱんぱんと叩く。






それでもスマホを握りしめているのは、


薮からの連絡を心の底では待っているからだ。






薮と伊野尾はよくケンカをする。






出会った頃からのそれは、


もう癖になっていて


大したことでなくてもケンカになる。






今回のものは、


伊野尾からすると重要であるのだが、


薮が帰ってきてくれただけでよかったので、


本当はそこまで怒っていない。







ただ、薮があっさりと忘れてしまっていたのが寂しかったのだ。






ケンカをした後出ていった伊野尾を、


必ず探して迎えに来てくれる薮は、


伊野尾を見つけると電話をしてくる。






だいたい同じような場所にいる伊野尾は、


見つかるまでにかかる時間も一定で、






それは家出というより


薮の愛情を確認するものであった。






そろそろかな。






手の中のスマホを見ると、


見計らったかのように藪の文字が表示される。






今日も迎えに来てくれた。






自分が薮にまだ愛されていることを確認した伊野尾は、


それでもむすっとした声で出る。






「なに薮」






「薮宏太さんのご家族の方ですか!?」






私は救急隊員のものです。






薮さんは先ほど突っ込んできたトラックと接触し、


今病院に緊急搬送中です。






今すぐに来ていただくことは可能ですか?






「…え?」






隊員から薮の運ばれる病院の名前を聞いた伊野尾は、


がたがた震える身体を必死に抑えながら、


病院に向かう。






幸いにもすぐに捕まったタクシーに行先を伝え、


震える肩を自分の腕で抱く。






どうしよう薮が死んじゃったらどうしよう。


私のせいだ。






私がこんな夜中に飛び出したりしたから。






顔の色をなくし、


身を震わせる伊野尾とその行き先から


察した運転手は近道を使って病院に向かう。






代金を払い、


受付まで走ると病室を教えられる。






走ってはいけないと頭では理解しつつも、


廊下を駆け抜け扉を開けると、


薮が頭に包帯を巻いてベッドに寝ていた。









.

*5→←*3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (145 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
167人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 薮宏太   
作品ジャンル:泣ける話
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ま つ り。(プロフ) - 伊野尾ゆいさん» そんなそんな、ありがとうございます! (2018年2月13日 7時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾ゆい(プロフ) - こんばんは 読ませていただきました涙が止まらなくなりましたとても感動しました!(´;ω;`)ウッ… (2018年2月13日 1時) (レス) id: acab45e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
??えむちゃん??*(プロフ) - こんばんわ!とても素敵なお話ですね。!今更ですが一気読みさせていただきました!大号泣してしまいましたヽ(;▽;)ノヽ(;▽;)ノ (2017年12月18日 23時) (レス) id: 37a0dee797 (このIDを非表示/違反報告)
まるごろう(プロフ) - 結局薮ちゃんの死は夢だったんですか? (2017年9月3日 15時) (レス) id: d59f6a9eff (このIDを非表示/違反報告)
*まつり*(プロフ) - 桜愛《さくあ》さん» 感想ありがとうございます!どちらでも好きな方に受け取って頂けると嬉しいです!伊野ちゃんが未来を見ていた、タイムワープで過去に戻った、伊野ちゃんもしんであれはすべて伊野ちゃんの中の話など…のつもりで書きました。読んで頂きありがとうございます♪ (2016年8月6日 20時) (レス) id: 2cfd20ff13 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ま つ り。 | 作成日時:2016年6月10日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。