君がいないと寂しい (yb×in♀)

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先程まで伊野尾は、


薮の愛が足りないだの記念日だのと


怒っていたはずだが、


いったい急にどうしたというのか。






怒りの為に赤くしていた頬は、


今は泣いた為に赤くなっている。






怒りで流す涙とは違い、


寂しさを示し静かに泣いている。






自分が知らない何かが一瞬で起こったようで、


状況が理解出来ない薮だが、


寂しい寂しいと泣く伊野尾が気になるので、


一旦考えるのをやめて抱き寄せる。






「いの」






親指で涙を拭ってやり、


赤い目を見つめるといきなり口付けられた。






「ん！？い…の…ぉ」






「やぶ…」






首に回された腕を撫で、絹のような髪に指を通す。






ゆっくりと頭を撫で腰に手を回す。






唇を合わせるだけの長い口付けを終えると、


伊野尾は少し落ち着いたようだ。






「薮の唇あったかい」






細い指で唇を撫でられ、


薮はは伊野尾の指ごと唇を重ねる。






「ん…ふぁ………や……ぶ……ん………ぅ…」






伊野尾の口内を舌で撫で回す。






いつもは恥ずかしがるのに、


今日は初めからもっと、とねだってくる。






その理由は気になるが、


伊野尾が合間に寂しいと漏らすのが


心配でたまらなくなり、聞くのを後回しにした。






「さみし…や…ぶ……んん……ふ………ぅ、ん」






「寂しぃ？」






「寂しい」






「大丈夫、ほら俺がいるでしょ」






「薮、ごめんなさい。もう薮の愛を疑わないし計らないし、薮に迎えに来て欲しいからって家出しないから、一人にしないで」






「俺、別に伊野尾迎えに行くの嫌いじゃないよ」






「やだ、もうしないからお願い」






「え？あ、うん」






何かあったの？と覗き込んでくる薮に、


伊野尾は何でもないと答え薮に抱きつき直す。






「伊野尾？」






「一人にしないで」






「しないよ」






「寂しい」






「今も寂しい？」






「今は…やっと寂しくなくなった」






瞳を涙で溶かし、


嗚咽をもらして泣く伊野尾は、


慰めてくれる薮がいることが嬉しくて、


涙を止めることができなかった。






「伊野尾」






「う……ひっく…ぶやぶやぶ！」






「そろそろその顔やめない？」






「…ん、うん」






「ほら、鼻かんで」






「いはい」






「ちょっとは我慢」









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