ふたつの鍵 5−SJ

久しぶりに ページ26

記者たちも途中からついてくるのをやめて
遠回りをしながらも、やっと事務所に着いた。


事務所に入って、小さな会議室のようなところに入った。


待ってろ、と言い残してﾏﾈオッパはお水を差し出してから
部屋を出ていってしまった。

　
　
渡されたお水をごくりと飲んで、深く息をついてみる。

昨日はこんなことにならなかった。


仕事も普通にしたし、記者にも会わなかった。

昨日のうちの出来事なのかな。


　
このことをヒョンスやソヒは知っているんだろうか。

そもそも、ドラマの撮影をしている時点で
ソヒとヒョンスは付き合っていた。

二人が私と打ち解けてくれて、そんなプライベートな話もしてくれて
とても嬉しかったからよく覚えているし、応援していた。


　
なのに、略奪？


考えてもわからなくて、もう一度お水を飲むと
会議室の扉が開いて、ﾏﾈオッパが戻ってきた。


　
ﾏﾈ「社長がユリに会いたいって。」

「社長が？・・私、怒られるの？」

ﾏﾈ「違うよ。」

　

ﾏﾈオッパに促されて、久しぶりにハン社長に会いに行く。

すべてを失ったような目をした私を拾って
私の瞳の闇を魅力的だと言い、この仕事をさせてくれたハン社長。


　
ﾏﾈオッパは外で待ってると言うから
一人で社長室に入ると、ハン社長は笑顔で迎え入れてくれた。


ﾊﾝ社長「よく来たね、掛けて。」

「あまりご挨拶に伺えなくてすみません、お久しぶりです。」


　
いいから、いいからと笑うハン社長に従って
指されたソファに腰掛ける。


ハン社長は相変わらず、私を優しい瞳で見据えて
ゆっくり口を開いた。


　
ﾊﾝ社長「本当は僕じゃなくて、マネージャーが話せば済むことだけど
僕はユリの瞳には、本当に可能性を感じてるから・・」


そんな言葉から始まって、微笑むハン社長は話を続けた。

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