ふたつの鍵―SJ

手 ページ7

？「…さん。ユリさん、大丈夫だよ。」


誰かの優しい呼びかけに
はっと目が覚めた。

私の顔を驚いた顔ではなく
優しく微笑みながら見ていたのは
さっき廊下で初めて会った
ｷｭﾋｮﾝさんだった。

どうやら控室のソファに
毛布を掛けられた状態で横になっている私。

「あっ…ごめんなさい。私…
あの、過呼吸になりましたよね…
ご迷惑おかけして…あの…」

―初対面でいきなり目の前で倒れるなんて
わざとじゃないにしても失礼すぎる…

申し訳なくて、ソファから起き上がり
なんて謝ればいいのか考えながら話し出すと
ｷｭﾋｮﾝさんは微笑んだまま口を開く。

kh「ユリさん。大丈夫です。大丈夫ですから。
　だからまず落ち着きましょう？」


―なんて優しく語りかけてくれる人なんだろう

ｷｭﾋｮﾝさんは噂で聞くようなブラックではなく
低く響く声で私を落ち着かせてくれた。

深呼吸して落ち着いてみた。
するとｷｭﾋｮﾝさんに手を握られていることに
今更気づいた私。
驚いてジッと手を見つめてしまった。

kh「あ、ここに運んでから呼吸も落ち着いたし
　控室から出ようとしたらユリさんが
　たすけて、って言って
　うなされてたから手握ったんです。
　眠ってる女性に失礼でしたね、すいません」

そういって手を離したｷｭﾋｮﾝさん。

ｷｭﾋｮﾝさんに握られていた手は
とても暖かくなっていた。

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