ふたつの鍵―SJ

和解？ ページ40

ｷｭﾋｮﾝオッパに支えられながら
控え室の扉を開けるとマネオッパはいない。

今日はマネオッパに一人で帰ると言って
先に帰ってもらったんだった。


kh「マネージャーは？」

「今日は一人で帰るって言って
帰ってもらったからいないの」

kh「…そう。とりあえず座ろう」


そう言って私を控え室のソファに
ゆっくり座らせてくれるｷｭﾋｮﾝオッパ。

頭がぼーっとしていろいろ思考が追いつかない。

控え室に置いてあった水を差し出しながら
ソファに座る私の足元にしゃがむｷｭﾋｮﾝオッパ。


私は水を飲んでなんだか落ち着いてきたけど
二人しか居ない控え室には沈黙が流れる。
何も話さず私を見上げていたｷｭﾋｮﾝオッパが
無表情のまま沈黙を破った。


kh「たまたま僕も今日車で来てるんだけど
僕が送っていくのは嫌？」

首を横に振って応えた。


kh「熱があるから病院に行こう」

これにも首を振る私。


kh「病院、行かなきゃダメだよ」

「風邪じゃなくて寝不足だから
少し寝たら良くなるから…
だから、病院はいい…」


ｷｭﾋｮﾝオッパが渡してくれたペットボトルを
握り締めながら小さく抵抗する。

ｷｭﾋｮﾝオッパはあいかわらず無表情。


ーあきれたかな…


kh「じゃあ家まで送るよ。
落ち着いたらもう行こうか。」

「…怒らないの？私のこと嫌いじゃないの？」


熱のせいか言うつもりの無かったことまで
このタイミングで出てしまった。


kh「怒る？僕が？」

「私、食事した時…ひどいこと…」


そこまで言ってｷｭﾋｮﾝオッパの涙を思い出して
何も言えなくなってしまった。


kh「それは僕でしょ？ひどいこと言ったの。
ユリを傷付けるつもりはなくて…」


私の予想していた言葉とは
全く違うことを言い出すｷｭﾋｮﾝオッパ。

ー私が傷付けたのに…

泣かせてしまったのは私なのに。


「「ごめん…」なさい」


私とｷｭﾋｮﾝオッパの声が重なった。

kh「ぷっ」


キュヒョンオッパは謝らなくていいのに…
なんて考えていたらｷｭﾋｮﾝオッパが笑い出した。


kh「ハモっちゃったね」


そう言って笑ったｷｭﾋｮﾝオッパは
私が倒れた日に手を握ってくれていた時の
優しい笑顔のｷｭﾋｮﾝオッパだった。


その優しい笑顔のままｷｭﾋｮﾝオッパが立ち上がり
もう行こう、と手を差し出してきた。

まっすぐなｷｭﾋｮﾝオッパの目を
これ以上見つめていれなくて
ｷｭﾋｮﾝオッパの手を掴んだけど
目をそらして私も立ち上がった。

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