ふたつの鍵―SJ

我慢―kh ページ17

1週間ぶりにユリさんを見つけた。


あの日、ｳﾆｮｷﾞヒョンの流れに乗って
自分もアドレスを聞いてみたけど
何度考えてもメールする内容が浮かばない。

―やっぱりメールって苦手だな

そんなことを宿舎のソファで考えていたら
ｳﾆｮｷﾞヒョンがﾄﾞﾝﾍヒョンに捕まって騒いでいた。

dh「やー、ｳﾆｮｶﾞー誰とどこに行くってー？」

eh「だからーユリさんとご飯ーへへ
羨ましいだろ〜でも連れて行かないぞ〜」


―ヒョンは連絡取ってるのか…
…………だからなんだ。

僕はユリさんが倒れた時
目が覚めるまで手を握ってたんだ。
ヒョンは手、触ったことないだろ。

―なんで俺、ヒョンに張り合ってるんだろう…


そんなことを考えていたら、あることを思い出した。

―あ、そういえば、あの日
ユリさんの目、なんだか悲しそうだった。


そうだ、あの目が気になるんだ。
何かを諦めているような説明できないものが
僕をも吸い込みそうなほどの漆黒の瞳に
見えた気がして、それが気になっていた。


その目が今、目の前にある。
僕が口にした、約束という言葉に
？マークを浮かべた様子でこちらを見ている。

―今日は悲しそうじゃないんだな…


約束の説明をしていたらヒョンたちが割り込んできた。
しかも食事にあっさりYESと答えた彼女。

意外とガードの固くない親しみやすい人なのかと思った。
彼女が倒れた日の印象は、どこかツンとしていて
人を寄せ付けないのかと思ったけど…


一人で1週間前のことを思い出していると
友達がいないと告白しだした彼女。

ヒョンが友達だというので、僕もその通りだと思い
頷いて彼女のほうを見た…まただ。

あの時の悲しそうな、泣きそうな目。

彼女は何を我慢しているんだろう…。
でもこんな人がたくさん通るところで
そんなことを聞く気にはなれなかった。

初めて→←告白

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す