５０話 ページ10
「お前ってさ、めんどくさいよな。」
『藪から棒に何？』
「お前は本当は優しい人間なんだよ。」
『はぁ？』
「でも、心のどこかで人間を好きになりきれない部分がある。」
『なんで、そうなるのよ.......』
本当に訳が分からない。
優しい？
むしろよく話していた子たちからは毒舌だって言われたのに？
人間が好きになれないのは事実だけど.......
「だってお前、集団で楽しそうに話してるのを見たら、その雰囲気を壊すまいと距離とるし、
集団に混ざってたとしても、聞き役に回ることが多いだろ？
それに、誰かを傷つけたと思ったら、めちゃくちゃ罪悪感を感じてるし、
ハブられてるやつには割と積極的に話しかけていったりしてただろ？
お前のそういうところが俺的には優しいと思う。」
『.......』
思っていたより心の中を見透かされていたようだった。
しかし、それらが優しいには結びつかない気がする。
「優しさって一言に言っても色々な種類があるんだよ。
お前の中の優しさは多分、自己犠牲的に周りに尽くしてるやつだろ。
お前は確かにそうではないけど、周囲の気持ちを読み取って、めちゃくちゃ気をつかってる。」
『.....そうかな？』
「安定のネガティブ思考！！」
『ハハハ、確かに私はネガですね〜』
優しさには種類がある、か.........
物事のとらえ方は人次第だ。
違っていてもおかしくはない。
彼の目には優しい部分があるように見えてたんだね。
「人が信じきれないのはお前のネガ思考と、�犧�までの生活″の影響だろうな......」
『そうだね。人の人格って今までの生活、特に幼いころのが中心になって形成されるらしいからね。』
「こればかりはなかなかぬぐえないかもしれないけど、もう少し前向きに生きろよ。」
『ぜ、善処します.......』
「そーいやさ、家族の件、全部自分のせいだと思ってるだろ。」
『うっ.......』
「あれはお前だけのせいじゃないだろ。」
『いや、もう少し妹の行動を心広く受け止めてあげれたら、もう少し面倒をしっかり見ておけばよかった話だし........』
「.....つまり、妹にもっと優しくしたかったってことか。」
『うん。』
「......結局さ、お前は周囲の幸せを望んでるんだよ。」
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作者名：雪丸 | 作成日時：2021年11月2日 20時
