2.無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ13)

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５３話ページ13

熊と出会ったのになぜか無事だった。

変態じじぃに襲われた時、不自然に止まった。

弔の個性をかけられても効かなかった。

家族が襲われた時、私だけ無事だった。

オール・フォー・ワンに触れられそうになった時、その手をはじいた。

なぜそんなことが起こったのか。

答えは私に個性があったから。

私の身が危ない時のみ発動した。

なぜ自分の個性が自由に使えないのか。

答えはおそらく私の個性。

蓮は私の個性を〝フリーダム”と呼んでいた。

フリーダムは自由を意味する。

その意味をそのままとらえるなら、私はかなり色々なことができる。

イメージとしては〝あのヒーローの個性”。

あの人の個性は一つ一つ具体的にやることを決めて発動させる。

私が具体的にやったことは何か。

それは────────

〝とりあえず、個性でませんように・・・・・・・”

熊に襲われそうになって、この世界で過ごした記憶(時間)を私は失った。

そして、家に帰るとき雄英を見て、自分は巻き込まれたくないから個性がでないように強く願っていた(・・・・・)。

今まで個性が自由に使えなかったのは、

検査で無個性と出たのは、

私が無個性であることを願ったから。

私の個性は私の願いを叶えようとして、存在を薄くした。

『ハハハ.......そーいうことか』

乾いた笑いが部屋に鳴り響く。

私はある結論へ達した。

〝自分がこの状況を生み出してしまったんだ”と。