無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ10)

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８話ページ10

ついに私に妹ができた。

名前は小百合

私はできる限り妹を可愛がった、つもりだ。

「おねぇ、これよんで」

小百合は絵本を持って、私のところへやってきた。

「いいよ。」

小百合が私の足の間に座ってきた。

当初はそのように座られるのは嫌だったが、今は慣れたのかそこまで嫌じゃない。

小百合はすくすくと成長した。

すっかり私に懐いてくれた。

現在、小百合は５歳

私は１１歳である。

小百合が生まれ、可愛がっていったら、色々な物事がうまく回り始めた。

怖いくらいに。

両親の仕事はどんどん成功を収め、業績を伸ばした。

私は運動ができるようになった。

前世の私の体育は悲惨だったのだ。

成績表を開くたびに２をつけられているんじゃないかとおびえていたものだ。

・・・・・・・しょうがないじゃん。だって、高い確率で補習してたもん。

わかりやすい例は体力テストだった。

前世、高校生の頃のボール投げがたしか７ｍ。

しかし、現在は１９ｍ。

初めて２桁を越えた時、マジで泣きそうになったよ・・・・・・

小百合が生まれたときに物事がうまく回り始めた。

理由はおそらく小百合の個性「幸運」だと思う。

詳しいことはよくわからないが、小百合の個性で今、家族に幸せがもたらされたのだろう。

ある所説がある。

人は生まれつき幸運と不運の大きさは決まっている。

いいことがあったら、悪いことがある。

悪いことがあったら、いいことがある。

「ただまぁ、鳴、小百合～」

『お帰り、お父さん、お母さん』

「パパ、ママ、おかえり！」

時々、小百合のことを見捨てて逃げたくなる。

嫌いになりそうになる。

でも、小百合のおかげで今はうまくいっている。

みんなが幸せそうに笑う。

私はこの笑顔が消えてほしくないから、耐えてきた。

みんなが楽しそうなら、それでいいのだ。

でも多分、そろそろいいことを味わっていた分のしっぺ返しがやってくる。

・・・・・・・この人たちなら、この家族なら、どうにか乗り切れるかな。