無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ38)

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３６話ページ38

私が今まで人殺しをしなかったのは、心が急ブレーキをかけてくれていたから。

それすらなくなってしまえば、もう戻れない。

私はどうしたらいい？

私は多分ふとした時に正気に戻るはず。

そうしたらきっと後悔するはずだ。

多くのものを傷つけ、壊してしまったことを。

ならどうすればいい？

死ねばいい。

自分でその命を絶てばいい。

そうすれば、何も起こらない。

誰も傷つかない。

平和的解決方法だ。

もしかしたら、神様は私を死なせてくれないかもしれない。

だけど、死ねなくても繰り返していればこの虚無感(地獄)から解放されるはずだ。

そう思ったら、私の足はすでに動いていた。

『うぅ、やっぱり病院服って薄いな。寒い。』

私は腕をさすりながら、病院の屋上の端っこに立っていた。

風が吹いて私の髪を揺らす。

私はゴクリと喉を鳴らす。

ここから一歩でも前に進めば、私は落ちる。

あぁ、とても懐かしい感覚(・・・・・・)だ。

私は右足を一歩前に進め、落ちていった。

落ちていく間、景色がスローモーションになって見えた。

あの日も満天の星空だったな。

星空を目に焼き付けて、私は目を閉じた。