無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ37)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:14,600 hit

３５話ページ37

「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

『何？』

××が声をかけてきた。

手にはDSがある。

私はかなり素っ気なく返事をした。

私は顔を××に向けずに勉強し続けた。

勉強中に話しかけるなよ。

「これって、どうやって倒すの？」

『たまには自分で考えなよ。』

××はいつもゲームで息詰まると私に声をかけて攻略方法を聞く。

私はそれを冷たくあしらう。

「でも、わかんないよ・・・・・」

××が泣き出してしまった。

非常にめんどくさい。

××はよく泣く。

ってか泣くなら勝手に泣いてろよ。

邪魔なんだよ。

『私に話しかけてこないで。うざい。』

あの時の私にはまだ心があったんだ。

苛立ちという感情が心を満たしていた。

なら、いつから心がなくなり始めた？

それは、××が死んだ日。

私は××が嫌いだったけど、××は私に心を与え続けていたんだ。

私だけじゃなくて、あの人たちにも。

ならこれは、××に今まで冷たく接したことによる天罰なのだろうか。

いや小百合が、お母さんが居た時はまだ心があった、いやまた芽生え始めたからきっと××の一件だけじゃない。

なら、突如やってきた現実に抗うことをしなかった(・・・・・・・・・・・・)私への天罰か。

どちらにせよ、もうすでに手遅れなのかもしれない。

私の心はもう空っぽだ。

多分、あの日(・・・)のようになってしまう。

そうしたら私はもう虚空鳴として生きてはいけない。

私は空っぽな心を満たそうとして誰かを殺してしまうかもしれない。