無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ35)

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３３話ページ35

死柄木side

あの日からどれだけの時間が経ったのか、もう俺は覚えていない。

彼女はあの日からまったく姿を現さなかった。

ずっと心が満たされない。

穴が開いているようだ。

何人か殺してみたけど、彼女と話しているときほどにはならない。

だから、俺は待つことをやめて探すことにした。

かなり探した。

頑張って探した。

先生も探すのを手伝ってくれた。

それなのに、見つからない。

「どうやら、誰かが意図的に彼女の情報を隠しているようだね。」

「なんで・・・・・・・・」

「それだけ彼女のことが大切だということさ。」

俺は首をかきむしる。

俺が一番鳴のことをわかってやれるのに。

守ってほしいなら俺が守ってやるのに。

壊してほしければ、俺が壊してやるのに。

鳴が欲しいものは全部あげるのに。

そんな思いを俺はずっと抱え込んできた。

そして、やっと見つけた。

「なんだ、あれ。」

脳無が不自然な動きをしていることに違和感を覚えた。

一人の人物をずっと追いかけている。

「あれは・・・・・・！」

脳無が追っていたのは鳴だった。

鳴は逃げている。

そしたら、エンデヴァーが助けに入った。

しかし、脳無は止まらず鳴を追いかける。

すると、脳無の動きが止まった。

まるで鳴と初めて会った日のようだ。

「ハハハハ！」

「どうしたのですか、死柄木弔」

「やっと、見つかったんだよ。探し物が」

「・・・・・？」

黒霧には何の話もしていない。

だから知らなくて当然だ。

話すつもりもない。

ヒーローに助けられる鳴。

見ていて吐き気がする。

すぐにでも迎えに行きたいけど、今じゃない。

こういうのはタイミングが肝心だ。

「待ってろよ、鳴。」

必ずお前を迎えに行くからな。