２９話 ページ31
ようやく学校とバイトの生活に慣れてきた。
狭納ちゃんとはよく会話をする。
狭納ちゃんは字が上手で、絵も上手で、手先が器用であった。
前世で仲良かった女子も似たような感じだったな・・・・・・
私は字が汚くて、絵心がなくて、手先が不器用・・・・・・
正反対だなぁ・・・・・・・
一方、バイトでは・・・・・・
「鳴ちゃん、デミグラスハンバーグ一皿追加！！」
『わ、わかりました！！』
忙しい。
かなり忙しい。
私のバイト先は個人が経営している店である。
店長はかなりこだわりのある人で、料理はかなりうまい。
普段、バイトは接客しか雇わない。
料理補助も一応募集はしている。
ただし、料理補助で雇われたのは今までで私一人であった。
給料は料理補助の方が高く、応募する人数も多い。
しかし、バイトの面接で突然「なんでもいいから一品作れ」と言われ、店長のお眼鏡にかなわず採用されない。
だが、私は採用されたのだ！
しかも、なぜか店長にいたく気に入られてしまった。
おかげで周囲からの妬みがやばい。
特に美人接客の子からの妬みが。
ここで重要なことを一つ。
店長はイケメンである。
もう一度言おう。
店長はイケメンである。
個人的に轟くんと張り合えるレベルだと思っています。
つまり、彼女たちの妬みの原因は店長にあるのだ。
辞めればいいって？
無理無理。
新しいバイト先探すのめんどくさいし、ここ給料いいし。
あと、辞めますって言うのがめんどい。
「あの雌ブタが店長をたぶらかしているのよ。」
「いやいや、店長が優しすぎるんでしょ。あんな貧相な身体で迫られたってねぇ？」
彼女たちはクスクスと笑う。
あぁ、また言ってる。
まじでうるさいなぁ・・・・・・・・
いっそのこと私の視界から消えてくれればいいのに。
最近はずっとこうだ。
スゥーッと何かが冷めていくような感じ。
前世の時にはよくあったなぁ・・・・・・・
今世ではほとんど感じなかった。
あれかな。
弔のおかげ、なのかな・・・・・・
あの頃の方が心は満たされてたな。
でも、今は空っぽ。
何をやっても何も感じないや。
でも、頑張る以外に選択肢はナイヨネ
私がもっと頑張れば、心の虚無感はなくなるかな？
ワタシガモットガンバレバイインダヨネ
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作者名：雪丸 | 作成日時：2021年9月22日 19時
