無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ29)

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２７話ページ29

「おはよう、鳴。」

『おはよう、お父さん。

朝ごはん置いておくね。』

「ふぁ～い」

お父さんはあくびをしながら返事をした。

今日から高校生活が始まる。

楽しみ、ということはない。

ただただ鬱だ。

だって、また人の名前を覚えなきゃいけないじゃん・・・・・・

めんどくさい。

でも、名前知らないとキツイ時あるんだよね・・・・・・・

人間ってめんどくさい。

そんなことを考えながら、入学祝いだということでもらったリボンで髪を結ぶ。

もらった色は黄色。

明らかに私の趣味に合わない色だが、

お父さんは「絶対に似合う！！」

と言って渡してきた。

つけないとうるさそうなので、おとなしくつけておく。

「よく似合ってるぞ、鳴！」

『そ、そう？』

お父さんの美的センスがよくわからない・・・・・・・

「じゃ、行くか。」

『そうだね。』

お父さんは卒業式に行けなかったことをかなり後悔していたようで、入学式にはなんとしても行く！と言っていた。

無理して休み取らなくてもいいのに・・・・・・

私たちは雄英の制服を着た人たちにすれ違いながら学校へ向かっていった。