無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ21)

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１９話ページ21

『はぁ・・・・・・

さすがに早朝は冷え込むな・・・・・』

早朝、私は病院の屋上に上がった。

このまま病室にいたら気が滅入りそうだったのだ。

太陽が昇りかけている。

私は外にあるベンチに腰を掛けた。

いや、ベンチ冷てぇな・・・・・・・

うぅ、上着か何か持ってくるんだった・・・・・

でも、戻ってもう一度ここに来るのはめんどくさいな・・・・・

「風邪ひくぞ。」

誰かがそう言って上着を私にかけた。

私は振り向いて、声の主を確認する。

『弔！？』

「ひさしぶりだな。」

死柄木は私の隣に座ってきた。

『どうしてここに・・・・・？』

「せっかく上着やったんだから、袖通せ。」

『えっ、あっ、はい。』

私の質問を無視した死柄木の言う通りに私は袖を通した。

ちょっとボロボロの上着だが、羽織ると暖かい。

弔の匂いがする・・・・・・・・

ヴィランだから、もっと匂いヤバいのかと思えば、そこまでじゃない。

それに私はこのにおいが・・・・・

って何を考えてるんだ、私！！

「なんで、病室にいなかったんだよ。」

死柄木は私を責めるような口ぶりで言った。

『病室にいたら、気が滅入りそうだったから。』

「探すのに、時間かかっただろうが。」

『それは、ごめん。』

普通はこんな早朝にお見舞いはダメなんだよ・・・・・・

そう言おうとしたら、声が出なかった。

なぜ？

私も弔に会いたいと思ってたから・・・？

まぁ、どうでもいいか。

今はあれこれ考える気になれないや。