無個性でよかった【死柄木弔】 (ページ16)

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１４話ページ16

「さぁ、行くわよ！」

「「お～！！」」

『・・・・・・』

今日は家族でピクニックに行く。

なぜにそんなにテンションが高いんだ。

そもそも、ピクニックに行ったって楽しくないよ・・・・・・

元々私、インドア派だし。

ってか虫がうじゃうじゃいる芝生の上でご飯食べて何が楽しいんだ。

全く理解できん・・・・・・・

「ほら、鳴も行くわよ。」

『は～い。』

少し離れた公園に着いた。

その公園はとても広い。

いつの日か学校の行事で行った清○公園とほとんど同じくらいだろうか。

小百合は公園でうるさく騒いでいる。

どこにそんな活力があるんだ。

すると、小百合がボールを持って私の方へ駆け寄ってきた。

「おねぇ、これであそぼー！！」

前世でもこういったことは嫌だった。

前世と違う点があるとすれば、やはり・・・・・・・

『いいよ』

運動ができるようになったことだろう。

運動ができなければ、外で遊んでもつまらないことが多い。

できないこと多いし、すぐ疲れるし。

「えい！」

『はい』

「えい！」

　
キャッチボール、なう。

小百合がとにかく”強い”。

個性をまた無意識のうちに使っているのだろうか。

私が暴球したと思ったら、小百合が取りやすい弾道になっている。

そして、小百合のボールはきれいに投げられている。

この個性をうまく使えば、スポーツ選手として活躍できそうだ。

何かに適正があるのは、羨ましいな、って思う。

私には何の適正もない。

学校の成績で考えてみても、

体育ができるようになったおかげで

自分の大きな欠点がなくなり、

全て同じくらいになった。

・・・・・・何か自分にしかできないことが欲しいな

なんでこんなことを考えるようになったのだろうか。

私は誰にも期待されたくない。

誰にも認識されたくない。

前世ではそう思っていた。

あれかな。

家族と死柄木の影響かな。

今世の家族は優しい。

その優しさに甘えてるのかな。

死柄木は時々信念のこもった目をしている。

何らかの強い感情を抱いている姿に憧れたのかな。

私が強い感情を抱いたのは、前世で死にたいと願ったときだけだ。

私、変わってるのかな。