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大倉side
なるべく早く出ようと、秒速でシャワーを終えて、
白Tシャツ1枚に、水浸しな髪の毛のままシャワー室から出る。
冬やし、寒かったら風邪引くんやろうけど、暖房が聞いてるこの部屋は、幸いなことにかなり暖かい。
バスタオルで適当に髪を拭きつつ、ベットの上に視線をやると、視界に映るはずのマルちゃんの姿がない。
大｢マルちゃん？」
最初はトイレにでも行ったんかと思ったんやけど、暗い部屋の中、よくよく目を凝らすとベットサイドにしゃがみ込む人影。
髪の毛を拭く手の動きを止めたのと同時に、しんどそうな声が聞こえて。
後はもう、状況を理解するのは難しくなかった。
大｢マルちゃん、ごめんな？気持ち悪くなってもうた？」
｢ん、⋯けほ、おおくら⋯っ⋯」
大｢大丈夫大丈夫。気持ち悪いん、全部出しちゃお？」
顔色は最悪なんに、さっきよりもずっと熱いマルちゃんの背中を、少しでも楽になるように、強めに擦れば、
｢ぅ⋯おぇ、げほっ⋯ん⋯はぁ、はぁ⋯」
やっぱり我慢してたんか、途端に背中が波打って、
そのまま吐き出してくれた。
大｢しんどいな⋯とりあえず、手、拭こか。」
しばらくして、ある程度落ち着いたタイミングで首にかけていたタオルで汚れてしまった手を拭う。
｢はぁ、おおくら⋯ごめん、なさ⋯っ」
気にしぃのマルちゃんのこと、この状況に、
身体だけやなくて、
精神的にもかなり参っとるんやろう。
途切れ途切れの荒い呼吸の間に、ごめんなさいと、
その言葉を繰り返す。
大｢大丈夫。俺の方こそ、ひとりにしてごめんな？もうひとりにせぇへんから、安心してええよ。」
そう言ってそっと肩を抱き寄せれば、
いつもより華奢に感じて、
身体も心も楽になれないマルちゃんが、
どうしようもなく可哀想だった。
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作者名：みるく。 | 作成日時：2024年3月22日 20時
